医学検査
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原著
Candida albicansの形態変化に対する抗真菌薬効果の検討―各種抗真菌薬におけるsub-MIC効果―
橋本 佳祐眞野 容子古谷 信彦
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2014 年 63 巻 5 号 p. 545-549

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抄録
Candida albicansは二形性真菌であり,ヒトに対して病原性を発揮する際には菌糸形として存在する.しかし,現在臨床現場で行われているC. albicansの薬剤感受性試験は酵母形を対象としたものであり,実際の人体内において病原性を発揮する菌糸形の薬剤効果を反映したものとは異なると考えられる.このことから,今回我々は酵母,発芽管,菌糸各形態最大時のC. albicansに対する抗真菌薬の効果について比較検討した.C. albicansは2時間培養した時点で発芽管細胞の割合が約80%と最大になり,4時間培養した時点では菌糸形の割合が約90%と最大になった.MICの比較は形態による差はみられなかった.酵母形最大時におけるamphotericin B添加ではsub-MICでも菌糸形への形態変化が抑制された.5-fluorocytosine(5-FC),fluconazole(FLCZ)はMICのみ抑制された.しかし,発芽管あるいは菌糸最大時における添加では5-FC,FLCZとも酵母への分裂に影響を及ぼさなかった.以上のことから薬剤添加時のC. albicansの形態によって薬剤応答にも変化が生じる可能性が示唆された.
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© 2014 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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