2017 年 66 巻 2 号 p. 117-124
近年,様々な産業で業務の標準化や透明化が求められ,医療分野でもその重要性が増している。ISO 15189は臨床検査室の国際規格であり,品質管理と技術能力に関する様々な要求事項について第三者評価機関の日本適合性認定協会が審査し認定する。しかし,ISO 15189の導入や維持には,文書や記録の作成をはじめとする膨大な事務作業を伴い,日常業務とISO 15189を両立させることが大きな課題となっている。そこで我々は煩雑な事務作業の効率化を目的として,ISO 15189に特化した独自の支援システムを開発した。支援システムを用いた文書の電子化や情報の一元化によって,文書の作成・閲覧・確認・承認作業,機器の管理,不適合業務や苦情の報告・是正・検証が迅速に行われるようになり,進捗状況の把握も容易になった。我々が開発した支援システムは事務作業の効率化に寄与し,ISO 15189の導入や維持に有効な手段と考えられた。