医学検査
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症例報告
肝膿瘍液中に検出されたシャルコ・ライデン結晶が診断の発端となったアメーバ赤痢の1症例
宮川 清隆清田 千草佐々木 康雄
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2017 年 66 巻 3 号 p. 273-276

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抄録

全身倦怠感および吐気を主訴とする患者の肝膿瘍液中に見られた,シャルコ・ライデン結晶の検出が発端となり,大腸内視鏡下採取便より赤痢アメーバを検出した1症例を経験したので報告する。来院時のCT検査で,肝右葉に膿瘍形成が認められ,穿刺により得られた膿瘍液は,黄褐色膿性にも関わらず無臭であった。グラム染色標本では,白血球が多数認められたものの細菌は認められなかったが,生標本の観察でシャルコ・ライデン結晶が確認されたため,大腸内視鏡検査が追加され便検体が提出された。ヨード染色を行い直接鏡検したところ,赤痢アメーバの嚢子が確認された。肝膿瘍検体において,シャルコ・ライデン結晶の存在は本症を疑ううえで重要な意義を持つことが再認識された。

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© 2017 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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