2017 年 66 巻 4 号 p. 387-391
安全かつ適正な輸血療法を実践するためには,輸血部門と臨床側の協力体制が重要である。当院では2005年6月より輸血の際,臨床検査技師が病棟等への輸血用血液製剤の搬送を行い,看護師と一緒に輸血受領時の読み合わせ確認,患者確認,電子認証,輸血開始後5分間の患者観察を行う,ベッドサイド業務を開始した。臨床検査技師による病棟業務の成果として,輸血実施手順の遵守,血液製剤の放置や不適切な保管防止,患者認証忘れの防止,副作用出現時の迅速な対応などの効果があった。また医師と患者の状況を共有することができ,適正使用に関するコンサルテーションを行いやすい環境作りができる。臨床検査技師にとってベッドサイド業務は,輸血療法全体の流れを知るよい機会である。輸血検査だけでなく,輸血療法全体の問題点に気付き,院内マニュアルの整備や業務の見直しを行うことで,安全かつ適正な輸血療法体制を構築することができる。患者中心の輸血療法を行う上で,臨床検査技師がベッドサイドに立ち会い,医師,看護師,コメディカルに,輸血に関するコンサルテーションを行うことは患者の利益に繋がる。