医学検査
Online ISSN : 2188-5346
Print ISSN : 0915-8669
ISSN-L : 0915-8669
資料
中規模施設における臨床検査技師の病棟配置による効果について
吉田 功板橋 匠美柿島 博志杉岡 結衣深澤 恵治丸田 秀夫横地 常広
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2017 年 66 巻 4 号 p. 348-356

詳細
抄録

臨床検査は患者の病態把握・診断・治療のために行われるものであり,その業務を担う臨床検査技師は医師・看護師やその他の医療職と連携し,患者により近いところで専門的能力を発揮することが求められている。その状況を踏まえて,日本臨床衛生検査技師会(以下,日臨技)より協力依頼を受けた病棟における検査関連業務の実検証を行い,病棟へ臨床検査技師を配置した場合における効果を検討した。本検証にあたり検査部門内でのスタッフへの説明を行い同意を得たのち,日臨技役員とともに施設長・総看護部長・事務長へ説明し,承認を得た。調査の病棟,業務量実態調査対象者,業務内容の選定を経て,実検証事前トレーニングの後,業務量実態調査およびアンケート調査を行った。病棟における臨床検査技師の業務内容としては,「患者情報管理」で1日の業務全体の約2割を占め平均68.0分,次いで,「検体採取(採血業務を含む)」で平均54.2分となった。すべての業務を累積した時間は,5時間11.9分となった。アンケート結果より,実検証の前後で検査関連業務に対する看護師の負担感は,大きく解消される結果となった。また臨床検査技師に期待する病棟業務は,心電図測定,採血業務が最も多く,次いで各検査の説明と血糖測定が多かった。患者からは検査に関する何らかの説明を望んでいることが判った。専門性をもって臨床検査技師が病棟業務を行うことで,医療ニーズに貢献できると推察される。

著者関連情報
© 2017 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
前の記事 次の記事
feedback
Top