医学検査
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原著
プロカルシトニン測定における測定前変動要因の評価―血清の容器移し替えによるプロカルシトニン濃度の偽低値現象―
大久保 学古川 聡子木村 千紘河口 勝憲通山 薫
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2018 年 67 巻 4 号 p. 437-442

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抄録

分析に用いる測定容器および保存容器がプロカルシトニン(procalcitonin; PCT)の測定値に与える影響を評価した。採血管の影響は認められなかった(p = 0.92)。検体をA社サンプルカップおよびB社サンプルチューブに移し替えて測定したPCT値は,採血管から直接サンプリングして測定したPCT濃度に比べて,5.6 ± 2.9%,3.8 ± 2.0%低下,2回目の移し替えでは7.4 ± 3.5%,11.0 ± 4.6%の低下が認められた。B社サンプルチューブに分注した後の時間の影響は,分注直後の0分後と2時間後のPCT低下率には有意な差は認められなかった(4.8 ± 2.7% vs 4.3 ± 4.6%, p = 0.61)。血清とB社サンプルチューブの接触する面積の影響は,接触する面積が7.3 cm2と21.1 cm2のPCT濃度はそれぞれ5.0 ± 3.7%,9.5 ± 5.2%低下した。保存容器であるC社,D社,およびE社保存チューブに移し替えたPCT濃度は6.9 ± 1.9%,6.7 ± 2.8%,4.2 ± 2.9%,2回目の移し替えでは,13.8 ± 3.3%,14.0 ± 4.1%,12.9 ± 3.2%,3回目の移し替えでは21.6 ± 2.3%,21.7 ± 4.8%,20.1 ± 3.0%の低下が認められた。よって,複数回の移し替えによるPCTの偽低値には注意が必要である。

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© 2018 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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