医学検査
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技術論文
全自動遺伝子検出法3機種とコバスTaqMan48および培養法とのMycobacterium avium complexにおける検出性能の同時比較検討
海原 弘貴大熨 ゆうか井上 恭太郎山下 佑希子黒瀬 多規子茅田 知子大森 章恵藤井 寛之
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2021 年 70 巻 3 号 p. 423-432

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抄録

抗酸菌症診療において,結核菌群と非結核性抗酸菌群の迅速かつ正確な鑑別の方法として,遺伝子検査が利用されている。簡便で迅速化を図る目的に,ミュータスワコーg1(和光純薬工業,PCR-CE法),TRCReady-80(東ソー,TRC法),GENECUBE(東洋紡,Qprobe法)と,当院で実施しているコバスTaqMan48(ロシュ・ダイアグノスティックス,TaqMan法)および培養法で比較検討を行った。前処理後の臨床検体94検体での一致率の算出,Mycobacterium aviumおよびM. intracelullareの菌株を用いて希釈系列を作製し,検出感度を算出した。TaqMan法との陽性/陰性一致率は,PCR-CE法70.8%/98.6%,TRC法95.8%/95.7%,Qprobe法87.5%/100.0%であった。培養法との陽性/陰性一致率は,PCR-CE法61.5%/98.5%,TRC法88.5%/97.1%,Qprobe法76.9%/100.0%であった。最小検出感度は,PCR-CE法2.0 × 10~1.1 × 103 CFU/mL,TRC法およびQprobe法2.0 × 10~1.1 × 102 CFU/mLであった。以上より,PCR-CE法,TRC法およびQprobe法は,簡便かつ短時間で結果が得られるため,肺MAC症の迅速診断に有用であり,各施設の需要やスタイルに合った遺伝子検出装置を選択することが重要であると考えられた。

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© 2021 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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