日本看護管理学会誌
Online ISSN : 2189-6852
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原著
臨床看護師のキャリア発達過程
─職務経験10年のプロセスに焦点をあてて─
中本 明世矢田 眞美子三谷 理恵片山 恵細名 水生
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 22 巻 1 号 p. 1-11

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抄録

本研究は離転職経験がなく役職をもたない臨床看護師の職務経験10年のキャリア発達過程を明らかにすることを目的とし,職務経験10~15年未満の臨床看護師7名を対象に,半構造化面接を行い質的に分析した.その結果,職務経験10年のキャリア発達過程は5フェーズで成り立っていた.研究参加者は,入職して数年間の1【看護師として懸命に看護行為を身につけていく】という必死な時期を過ぎ,2【看護行為に自信は持てるがマンネリ感を抱く】という看護師としての成長を実感できないキャリア継続の危機的状況を迎えていた.この危機的状況を大きな環境の変化によって脱するが,環境の変化により3【看護師としての存在価値が揺らぐ】という新たな危機的状況を迎えていた.その後,危機的状況を乗り越え,4【培ってきた自分の看護を発展させ(る)】,5【自分の看護を展開しながら将来像を描く】ようになっていた.これら3.4の時期は,内的なキャリア発達が大きく促される時であると捉えられた.従って,臨床看護師のキャリア発達には,危機的状況を乗り越え【培ってきた自分の看護を発展させる】ことが大切であると示唆された.組織での継続教育の場における支援者は,キャリア継続の危機的状況が生じる可能性を認識し,臨床看護師がどの時期にいるのかを見定め危機的状況を乗り越えられるよう支援し,自分の培ってきた看護に価値を見出して,自分の看護に対峙できるよう支援することが望ましい.

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© 2018 一般社団法人 日本看護管理学会
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