日本看護管理学会誌
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臨地実習における臨床教員の教授活動の評価
渡辺 純子福宮 智子山田 真実子小松﨑 記妃子佐藤 陽子山﨑 あや福地 本晴美大﨑 千恵子
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2019 年 23 巻 1 号 p. 82-91

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抄録

本研究は,臨床教員の教授活動および臨床教員制度導入の成果と課題を明かにすることを目的とした.臨床教員の指導により実習を行った学生56名,臨床教員とともに実習指導をした実習指導者25名,臨床教員が実習指導を行う部署の師長13名の3群に無記名質問紙調査を行った.調査項目は,日本語版Effective Clinical Teaching Behaviors評価スケールを適用した.また,臨床教員制度および臨床教員の教授活動に関する自由記述を求めた.その結果,臨床教員の教授活動については,3群いずれも肯定的に評価をしており,特に学生に対する教育環境の整備を高く評価していた.学生は,実践的な学びや看護の探求心に関連する内容を高く評価する一方で,緊張感を緩和するというニーズが高く,課題のひとつとして示された.実習指導者は,学生の学びの質向上を目的に学内と臨床の架け橋となる存在への期待をもっていた.師長は実習指導者の育成,部署の臨床レベルの向上,新人の適応支援に関する期待が認められた.また,臨床教員制度については,臨床教員の役割の明示や人員配置の問題が見出された.これらのことにより,今後,臨床教員はさらなる臨地実習の充実を図るとともに,卒後教育や臨床の質向上などに対し幅広い役割を果たしていくことや臨床教員活動の可視化が必要であると考えられた.

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© 2019 一般社団法人 日本看護管理学会
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