2022 年 26 巻 1 号 p. 55-63
【目的】病棟看護師のワーク・エンゲイジメントに影響する要因を明らかにすること.
【方法】2施設の総合病院の病棟看護師535名を対象に,無記名自記式質問紙調査を実施.個人背景,就労の状況,日本語版ユトレヒト・ワーク・エンゲイジメント尺度短縮版,精神的回復力尺度,新職業性ストレス簡易調査票を調査した.分析方法は,ワーク・エンゲイジメントを従属変数としたステップワイズによる重回帰分析を行った.
【結果】317名から回収(回収率59.25%),有効な回答が得られた269名(有効回答率84.86%)を分析対象とした.看護師のワーク・エンゲイジメントには,レジリエンス(β=.298,p<.001)と個人背景の年齢(β=.225,p<.001),仕事の資源の仕事の意義(β=.214,p<.001),仕事の適性(β=.109,p<.05),ワークセルフバランス(ポジティブ)(β=.280,p<.001)が影響を与えていた.
【考察】看護師は,個人が持っているレジリエンスを活用するとともに,仕事に意義を感じ積み重ね,肯定的に捉えること,自分に向いていると実感することが,いきいきと働くことにつながる可能性が考えられた.仕事の意義が言語化されるような環境の整備や,自分の実践を肯定的に捉えられるような支援が必要であると考えられた.