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Print ISSN : 1346-4116
研究論文
NPO政策と行政裁量
―公益性の認定をめぐって―
初谷 勇
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2001 年 1 巻 1 号 p. 27-40

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抄録

主務官庁による公益法人設立許可における公益性認定や,特定公益増進法人の認定における公益増進性の認定,また,所轄庁による特定非営利活動法人設立認証における公益性(不特定多数性)認定等にみられる「行政裁量」の事例を,行政官の裁量判断を支配するプログラム概念を用いて横断的に分析し,適切な裁量統制のあり方を検討した.
とくに,主務官庁等に属する行政官の集団によって共有され,場合によっては客観的に記述されているが,法律や行政立法になっていない行政基準などの「準則」を,法令などの客観的プログラムと行政官個人の内面的プログラムとの中間に位置する「準客観的プログラム」として新たに概念化し,その機能を分析した.
NPOの法環境を整備するための政府セクターのNPO政策では,裁量統制機構の外部化以上に,内部に段階的な裁量統制機構を組み込み,みずから準客観的プログラムを外在化し,客観化する努力を果たしつつ,内在的に裁量を統制することが必要である.

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© Japan NPO Research Association 2001
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