ノンプロフィット・レビュー
Print ISSN : 1346-4116
研究論文
介護保険サービス市場における経営主体別事業者のパフォーマンス
―質の相違とクリームスキミングに関する分析―
金谷 信子
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2018 年 18 巻 1 号 p. 1-13

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抄録

介護保険サービスは準市場化され,現在,営利・非営利の多様な事業者が参入している.準市場では,事業者間の競争が,サービス提供の効率性およびサービスの質を向上させると期待されているが,実態は明らかではない.このため,グループホームを対象に,営利事業者と非営利事業者の行動を比較し,利益追求のためにサービスの質が犠牲にされたり,クリームスキミングが発生したりする可能性を重回帰分析により検証した.またサービスの質やクリームスキミングと,介護保険事業の規模の関係を分析した.

結果は,全般的にサービスの質は,非営利法人の方が営利法人より高い傾向があった.ただサービスの質の指標や非営利法人の種類により結果は若干異なった.施設の整備および介護・看護職員の数や質の面では,非営利法人の方がサービスの質が高かったが,一部の経営指標は,営利法人の評価の方が高かった.事業収入の規模とサービスの質に関しては,介護・看護職員の配置や経験の点で質が高い事業所は事業収入が少なく,クリームスキミングが多いほど事業収入が大きい傾向があった.

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© 2018 Japan NPO Research Association
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