2020 年 20 巻 1 号 p. 1-10
法学分野におけるNPOの研究(非営利法研究)は,最近20年に着実に発展した。その重要な背景は,日本の社会・経済一般における非営利への関心の高まりと同時に,非営利に関する現実の法制度(非営利法)が,1990年代後半以降,劇的と言って良い転換を遂げたことにある。非営利法の立法過程の研究のほか,非営利法の内容についても,「結社の自由」との関係,法人制度とガバナンス,税制優遇等について,重要な基礎理論の発展が見られた。他方,実際の非営利法の内容についても,また,非営利研究についても,なお多くの課題も残されている。本稿では,現在の到達点と課題の両面から,法学分野における非営利法研究の20年を振り返る。