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Print ISSN : 1346-4116
研究論文
教育訓練による投資的動機の充足とNPO活動の継続
森山 智彦
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2007 年 7 巻 1 号 p. 1-12

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抄録

本稿は,Menchik and Weisbrod(1987)の議論を下に,NPOスタッフの活動動機を消費的動機と投資的動機に分類し,それらを満たすことが活動の継続を促しているかについて,計量的に推定している.特に,投資的動機を強く持ち,かつどのような教育訓練を受講した人が活動を継続しているのかを中心に検証している.推定に用いたデータは,2198人の有給職員・ボランティアの個票データである.
主な結果は,次の2点である.(1)消費的動機は,大半のスタッフが兼ね備えて活動に参加し,また満たされていることから,活動継続に不可欠なものである.(2)投資的動機を強く持ち,かつ会計等の専門業務に関する講座の受講歴がある人は,長く活動している.これは,「NPO特殊的」なスキルへの投資行動を行う人材が存在することを示唆している.従って,そのような人材を見極めた上で,NPOに関する専門的な教育訓練の機会を提供することは,組織の基幹的人材の育成に有効であると考えられる.

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© Japan NPO Research Association 2007
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