ノンプロフィット・レビュー
Print ISSN : 1346-4116

この記事には本公開記事があります。本公開記事を参照してください。
引用する場合も本公開記事を引用してください。

行政と市民セクターとの協働における「対等性」に関する実証的検証
―アクター間の影響力の均衡という観点から―
小川 大和
著者情報
キーワード: 協働, NPO, 対等性, 影響力, 信頼
ジャーナル フリー 早期公開

論文ID: NPR-D-18-00006

この記事には本公開記事があります。
詳細
抄録

協働における対等性は,和洋問わず,その基本理念・規範として謳われていることが多い.他方,実態としてそれは必ずしも確保されていないとの主張は多い.それでは,行政と市民セクターを対等に近づけるにはどうすればよいか.本論文では,協働における対等性に影響を与える要因に関する理論的モデルを提示した上で,無作為抽出した359の地方自治体の市民活動担当部署にアンケート調査を実施し,この問いに対して統計的に検証する.統計分析の結果,2007年との比較で両者の影響力の差は縮小傾向にあるものの,未だ両者を対等と言うことは難しいこと,そして,両者を対等に近づけるためには,行政は,①協働に関する条例を制定し,かつ,その中で対等性に言及すること,②市民セクターと頻繁に接触し,また,その信頼性を認識して,信頼関係を構築すること,③市民セクターとの協働の経験を蓄積すること,④両者の間で役割分担等を明確にしたパートナーシップ協定を締結しておくこと,⑤市民セクターがその得意分野を発揮することにより,両者の関係を対等に近づけていくことは可能であることが示唆された.

著者関連情報
© 2019 Japan NPO Research Association
feedback
Top