2008 年 28 巻 1 号 p. 1_31-1_40
本研究の目的は,COPD患者の対処方略の因子構造を確認し,対処方略の精神的健康に及ぼす影響を明らかにすることであった.対象はCOPD診断基準を満たす107名であった.まず,14項目3下位因子(「積極的対応」「自己コントロール」「病気の再解釈」)からなる対処方略尺度を開発し,確証的因子分析により構成概念妥当性を検討した.結果は,COPD患者の対処方略尺度の構成概念妥当性を支持するものであった.次いで,対処方略を息苦しさや活動制限に対する認知および精神的健康の介在変数として位置づける因果モデルを用いて,対処方略の精神的健康に及ぼす影響を検討した.その結果,対処方略にはCOPD患者の精神的健康を維持する直接効果があることが明らかとなった.前向きな対処(「積極的対応」「自己コントロール」「病気の再解釈」)を用いることは,COPD患者の精神的な健康の維持を図るうえで効果があると考えられた.以上の結果は,COPD患者の精神的な健康の維持を図る上で,前向きな対処を多く用いることができるように看護介入していくことの必要性を示唆するものであった.