2011 年 31 巻 4 号 p. 4_86-95
目的・方法:本研究では安定期にある15名のCOPD患者に半構造化面接法を用い,日常生活の中でどのように体調調整を行っているのかをSchutzの示した日常生活の認知様式を構成する視点を手掛かりに明らかにしていった.
結果:日常生活における体調調整の行為として【COPDによって変化した身体が日常化する】【今の身体の状態を感じ取ることでCOPDを持つ身体を体験する】【身体への信頼を失っていく感覚と生に対する思いを持つ】【呼吸を安定させるための方略を持つ】【心身を安定させるための方略を持つ】【動ける身体を維持するための方略を持つ】【療養法を生活の中にうまく取り入れる】【身体の調子と生活時間を調整する】【社会の一員として存在するための方略を見つける】【病気や治療の知識,見通しを持つ】【役割や楽しみを持つ努力をする】の11の構成要素が明らかになった.本研究では,Schutzの考え方を用いたことで生活者として患者側から見た体調調整のあり方を明らかにしていくことができた.