抄録
本研究は,病棟看護師の終末期患者への在宅療養に向けた退院支援と,その影響要因を解明することを目的とし,病棟に勤務する看護師428名に対して,自記式質問紙調査を実施した.判別分析の結果,病棟看護師の終末期患者への退院支援に最も影響する要因は,看護師の経験年数や退院調整部署との連携の程度ではなく,患者と死について語ることができる程度であることが明らかとなった.患者と死について語ることができる看護師ほど,終末期患者への退院支援を積極的に実施していた.患者と死について語ることができない看護師が大半であることが明らかとなり,終末期患者への退院支援を推進するために,看護師への死に関する教育支援の必要性を考察した.