日本看護科学会誌
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認知症を有する人を介護する家族介護者のパートナーシップを築く力の向上を目指した教育プログラムの効果の検討
桐明 あゆみ森山 美知子
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2016 年 36 巻 p. 1-8

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抄録

目的:認知症を有する人(以下認知症者とする)を介護する家族介護者を対象にして,家族介護者のパートナーシップを築く力の向上を目指した教育プログラムを全4回で実施し,その効果を検討する.方法:研究デザインは非ランダム化比較対照試験である.調査を完遂できた介入群22名,比較群21名を対象とした.介入群には,家族介護者のパートナーシップ向上を目指した教育プログラムを受講してもらい,比較群には教育プログラムの重要部分を抜粋した小冊子を配布した.効果を測定する指標として,家族介護者のパートナーシップを築く力,介護負担感と介護肯定感,ソーシャルサポートを,介入前,介入後,介入終了から2ヵ月後に測定した.結果:介入群の認知症者を対象としたパートナーシップを築く力と介護に対する肯定感は比較群よりも有意に向上した.しかし,専門職者や他の家族員や近隣者とのパートナーシップを築く力と,ソーシャルサポートや介護負担感に介入群と比較群との有意差はみられなかった.結論:教育プログラムは,家族介護者の認知症者に対するパートナーシップを築く力を向上させ,介護に対する肯定感を高める効果があることが示唆された.

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© 2016 公益社団法人日本看護科学学会
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