目的:本研究は,患者教育の変遷を,看護基礎教育と臨床現場の実践という2つの視座から検討し,戦後70年の看護の発展を明らかにした.方法:Rankeの実証史学を踏襲した歴史学の手法を用いた文献研究である.対象とした史資料を,一次資料,二次資料,三次資料に分類した.分類した史資料の史料批判を行いながら,それぞれの史資料を照らし合わせ患者教育が発展していく一連の連関を分析し論証した.結果:1960~70年代から生活習慣病の増加や高齢化の進展によって指定規則が改正され,看護基礎教育における患者教育の学習基盤が整えられた.それに伴い,個別的な対象者理解と分析的な視点に基づいた学習が行われた.1980年代から人権意識の高まりに伴い,臨床現場の実践では,患者の意思決定を尊重する援助が行われた.また,新自由主義政策の導入によって,患者の能力へのかかわりが求められた.結論:患者教育は,政治や経済の発展に即しながら,看護基礎教育や臨床現場の実践を変革させてきた.