日本看護科学会誌
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原著
乳幼児を子育て中の母親から子どもへの「愛着-養育バランス」に影響する内的要因
―母親の被養育体験と内的作業モデルの影響―
武田 江里子小林 康江弓削 美鈴
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2016 年 36 巻 p. 71-79

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抄録

目的:母親の養育システムの発達に母親の被養育体験(PBI)及び内的作業モデル(IWM)がどう影響しているかを明らかにし,養育者としての発達を促す支援のための基礎資料を得る.

方法:産後1か月時からの継続調査に同意の得られた母親を対象に自記式質問紙調査を実施し,本論文では産後12か月,18か月,2~3年時に有効回答の得られた150名を分析対象とした.調査内容は,属性,養育システムの発達(愛着-養育バランス),PBI,IWMである.

結果:愛着-養育バランスは3つの時期間で相関がみられた.12か月時の愛着-養育バランスはPBIと,18か月時の愛着-養育バランスはIWMと相関がみられ,PBIとIWMも相関がみられた.共分散構造分析ではPBIはIWMに影響し,養育システムの発達に影響していた.PBIから養育システムの発達への直接的な影響はなかった.

結論:PBIはIWMを介して2~3年時の養育システムの発達に影響しており,母親の被養育体験の認知を変容することが養育者としての発達を促す支援に繋がる可能性が示唆された.

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© 2016 公益社団法人日本看護科学学会
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