2016 年 36 巻 p. 130-137
目的:病棟看護師の移動介助動作時腰痛の発症率を明らかにし,移動介助動作の頻度・移動補助具の適正使用の実態,および,それらと移動介助動作時の腰痛発症との関連を明らかにした.
方法:移動介助動作の多い病棟に勤務する看護師に対し,自記式質問紙調査を行った.
結果:18施設の看護師534名より回答を得た.移動介助動作時の腰痛発症は,動作時の「半分以上」・「いつも」の合計で,「ベッド上体位変換」が最も多く43.9%,次いで「ベッド上水平移動」33.4%であった.移動介助動作の頻度で最も多かったのは「ベッド上体位変換」,次いで「ベッド上水平移動」であった.全ての動作頻度と動作時腰痛の発生頻度は弱い正の相関を示した.使用経験の多かった移動補助具はスライダーで,次いでスライドボード,スライドシートであった.移動補助具の適正使用は,概ね腰痛発症の頻度と関連せず,「ベッド⇔ストレッチャー」時のスライダーのみ,動作時腰痛発生頻度の多さと関連した.