日本看護科学会誌
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原著
がん患者の抑うつ状態に対する精神看護専門看護師によるケアの効果
―無作為化比較試験による検討―
野末 聖香宇佐美 しおり福田 紀子桑原 武夫石井 美智子福嶋 好重林田 由美子安藤 幸子上野 恭子下川 恒生
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2016 年 36 巻 p. 147-155

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抄録

目的:がん患者の抑うつ状態を改善するためのケア・パッケージを用いた精神看護専門看護師による介入の効果を検討する.

方法:造血器腫瘍あるいは肺がんの診断を受け,化学療法目的で入院した患者を対象とした.うつ尺度(PHQ-9)によるスクリーニングで軽度から中等度の抑うつ状態にある対象者を介入群(n = 34)と対照群(n = 37)の2群に無作為に割り付けた.介入群には1回30分以上,週2回,合計4回の個別面接を実施し,対照群には心理教育パンフレットを手渡して,介入/観察前後の2時点で無作為化比較試験による評価を行った.

結果:二元配置分散分析の結果,両群とも有意にPHQ-9得点が改善した.加えて介入と時間の交互作用が認められ,介入群の改善度が大きいことが示された.

結論:ケア・パッケージを用いた精神看護専門看護師による介入は,がん患者の抑うつ状態の改善度を高めると考えられた.

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© 2016 公益社団法人日本看護科学学会
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