2016 年 36 巻 p. 163-171
目的:看護観が自己の体験を通して発展するまでの看護師の思考のプロセスを明らかにすること.
方法:看護実践経験5年以上で,看護部長から看護観が確立していると判断された看護師を対象に半構造化面接を実施し,得られたデータは修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを参考に分析した.
結果:17名の面接から8カテゴリーが生成された.看護観の発展には〈自己の看護が揺らぐ体験に直面〉をした看護師が〈体験との向き合い〉により〈自己の看護の考え方の広がり〉を得て〈めざす看護の定まり〉がなされる【看護観形成過程】と,その実現に向け〈看護ケア方法の探索〉をして〈めざす看護を意識した看護ケアの実践〉を行い〈看護ケアの承認による看護への自信〉を得る過程を繰り返し〈体験の積み上げによる看護観の確立〉に至る【看護観確立過程】があった.
結論:体験により内的に形成された看護観を意識した看護ケアの実践の積み重ねで看護観が発展していくことが示された.