2016 年 36 巻 p. 204-212
目的:臥床生活以前のパーキンソン病療養者の配偶者(以下,配偶者)が体験する困難を明らかにすることである.
方法:10名の配偶者に半構造化面接を行い,質的記述的に分析した.
結果:配偶者は,【捉えどころのない難病に動揺し】ながらも,【揺れ動く症状と向き合おうと努めて】いった.そして,【夫婦で培ってきた歴史があるから今の生活を大切にしたい】と願うが,やがて【捉えきれない症状に翻弄されて】いった.また,【一足先に老いていくかのような療養者との生活を心配して】おり,【症状に翻弄される夫婦を誰かに支えて欲しい】と願っていた.
結論:本研究の配偶者は,変動する運動症状の他,発症早期より出現する非運動症状にも翻弄されていた.そのため,発症早期より専門職の役割を伝え,症状を捉えた配偶者の工夫や努力を評価し,捉えにくい症状ゆえ生じやすい夫婦の齟齬に気づいて関わることの必要性が示唆された.