2017 年 37 巻 p. 76-85
目的:ひとりで暮らす虚弱高齢者の希望と,老いの肯定的意識,健康状態,社会的役割,ライフスタイル,ソーシャルネットワーク,サポート受領との関連を明らかにする.
方法:65歳以上の独居高齢者を対象に質問紙調査を実施した.分析対象者は要介護度1から非該当者までの463名であった.希望レベルはHerth Hope Index(HHI)により測定し,HHI得点を従属変数とする重回帰分析を行った.
結果:対象者の年齢は83.4 ± 6.6歳で,HHI得点は33.1 ± 6.7点であった.HHI得点と有意な関連が認められたのは,老いの肯定的意識(β = 0.244),精神的健康(β = 0.241),社会的役割(β = 0.175),ソーシャルネットワーク(β = 0.027),訪問介護サービス(β = 0.124)であった.
結論:虚弱な独居高齢者の希望を高めるためには,人生経験を振り返りながら老いを生きることを肯定的に意味づけし,近隣とのかかわりや社会活動への参加を通して他者とのつながりがもち続けられ,精神的健康状態が維持できるように支援することが重要である.