2017 年 37 巻 p. 96-104
目的:心臓血管手術経験をもち,疾患を抱えながら生活するマルファン症候群患者の体験を明らかにすることである.
方法:研究対象者6名に半構成的面接を実施し,質的統合法(KJ法)を用いて分析した.
結果:【突然死に対する恐怖心を見てみぬふりをしてやり過ごす】【他人とは違うというコンプレックスを仕舞い込む】【抗えない,努力のしようのない病気なので意識しないようにしている】【身近な人の死と手術経験を経て,命を大切に生きる】【結婚・子どもをもうけるかどうかの葛藤と消えない家族への呵責の念】【苦難を乗り越えて,今なら病気でも何とかなると思える】【社会の理解や医療・社会保障の整備を望む】【得た情報で不安になることもあるが,支えになる同病者との交流】のシンボルマーク8つが抽出された.
結論:内在する思いに配慮しつつ,遺伝看護の実践,セルフケア能力を高める援助,医療環境の整備の必要性が示唆された.