2017 年 37 巻 p. 408-416
目的:終末期ケアシミュレーションシナリオを開発し,終末期ケアシミュレーションへの参加による学生のフロー体験の生成と終末期ケアに対する自信を測定することで開発したシナリオを評価することを目的とする.
方法:参加希望のあった学生を教育群(n = 13)と対照群(n = 12)の2群に無作為に割り付けた.教育群に終末期ケアシミュレーション教育を実施し,両群の教育前後の2時点間のフロー体験の生成と終末期ケアに対する自信の変化を無作為化比較試験により評価した.
結果:終末期ケアシミュレーション後,フロー体験の総得点は教育群が有意に高値を示した.終末期ケアに対する自信は教育群で有意に上昇した.
結論:開発した終末期ケアシミュレーションシナリオは情報内容,量的バランス,挑戦水準ともに適切であったと考えられる.終末期ケアシミュレーションは,終末期ケアを効果的に習得する教育手段となり得る.