日本看護科学会誌
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原著
不妊治療終結後の女性が子どものいない自分らしい生き方を見出すプロセス
―複線径路・等至性モデル(TEM)による分析―
三尾 亜喜代佐藤 美紀小松 万喜子
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2018 年 38 巻 p. 72-81

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抄録

目的:不妊治療を終結した女性が子どものいない人生を受け容れ,自分らしい生き方を見出す過程の多様な径路と多様な径路を辿る影響要因を明らかにし,求められる看護支援を検討する.

方法:子どもを得ず治療を終結した女性14名に面接調査を行った.分析手法は,複線径路・等至性モデル(TEM)を用いた.

結果:治療終結直後は,解放感・喪失感のアンビバレントな感情に揺れる.その後,子どもを諦めてよいかの葛藤を経て子どもを諦める.治療に取り組んだ人生を振り返りながら生き方を模索し,治療体験を肯定的に意味づけ,社会通念に囚われず子どものいない人生を前向きに捉えることにより,自分らしい生き方を見出す.この過程には,自信の回復,重要他者の承認や安定した関係性,ピアの存在,価値観の転換などが影響していた.

結論:夫婦ともに納得のいく受療と終結の支援,葛藤や治療体験の意味づけが続くことを理解した情報提供やモデル提示の必要性が示唆された.

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