2018 年 38 巻 p. 383-393
目的:大腸がんの症状の認識とリスク因子の知識,生活習慣との関連を明らかにする.
方法:大腸がん患者を対象に症状の認識とリスク因子の知識,生活習慣に関する質問紙調査を行った.症状の認識の程度に応じて「現在も知らない」,「罹患後に知った」,「罹患前から知っている」の3群にわけ分析した.
結果:研究参加者は95人であった.症状を「現在も知らない」群は36人(37.9%)で,男性,病期II/III期の者が多く,年収,リスク因子の知識が低く,生野菜摂取量が少なく,飲酒,脂肪分の摂取量が多かった.「罹患後に知った」群は40人(42.1%)で,女性,病期II/III期の者で,生野菜の摂取量が多く,飲酒,脂肪分の摂取量が少なかった.「罹患前から知っている」群は19人(20.0%)で,病期0/I期の者が多く,年収,リスク因子の知識が高く,脂肪分の摂取量が少なかった.
結論:大腸がんの症状の認識によりリスク因子の知識や生活習慣に相違があり,特徴に応じた看護支援の必要性が示唆された.