目的:仕事中に化学物質を吸入し,慢性呼吸器障害をもった壮年期男性のスピリチュアリティを明らかにすること.
方法:40歳代の1名の男性患者を当事者とし,非構造化面接で得たデータを記述的現象学の方法を用いて分析した.
結果:当事者は【自分の身体が壊れる恐怖】【大変な病気であると確定されたことへの衝撃】【不条理な経験の問い】【自分の病気のことを楽観的に捉えていたことへの後悔】【医療従事者に対しての行き場のない悔しさ】【生存への希求】と【壮年期の男性としての役割を全うしたい希求】のスピリチュアリティを経験した.
結論:診断が確定するまでに長い期間が掛かり,生命が脅かされる身体の苦痛や対処療法しか治療方法がないという疾患に罹患したことのペインを経験した.一方では父親の役割を果たしたいという望みから,生きることへの希求のwell-beingのスピリチュアリティをもつ経験した.