2024 年 44 巻 p. 624-636
目的:終末期がん患者と家族間における看護師の対話支援の実践状況とその関連要因を明らかにする.
方法:臨床経験2年目以上の看護師839名を対象にオンライン調査を実施した.対話支援の実践状況として看護師の終末期がん患者と家族間の対話支援自己評価尺度と対話支援の機会を尋ねた.個人属性,学習経験,関心,家族支援の取り組み,職場からのサポートを調査し,対話支援自己評価尺度改訂版得点を従属変数とした重回帰分析により関連要因を検討した.
結果:有効回答296件のうち68.9%が対話支援の機会を有していた.対話支援の実践状況との関連要因は,対話支援に関わる機会があること,カンファレンスで自分の症例を報告すること,専門書や関係する雑誌を読むことであった.
結論:対話支援実践頻度の上昇に向けて,カンファレンスで気づきを語りやすい職場風土の醸成,専門書や関係する雑誌の紹介等の組織的な教育機会の整備が必要と示唆された.
Purpose: The purpose of this study was to determine the practice of nurses’ support for dialogue between terminally ill cancer patients and their families and the factors that influence this support.
Methods: The subjects were 839 nurses with at least 2 years of clinical experience working at hospitals, and who were involved in the care of terminally ill cancer patients. The survey included a self-assessment scale for nurses to enhance dialogue support between terminally ill cancer patients and their families, opportunities for dialogue support, personal attributes, learning experiences, interest, what they are doing to improve their ability to support family members, and support from the workplace. Multiple regression analysis was conducted with the revised version of the scale score as the dependent variable, personal attributes, learning experiences, interest, what they are doing to improve their ability to support family members, support from the workplace, and opportunities for dialogue support as the independent variables.
Results: There were 296 valid responses, 68.9% had opportunities for dialogue support. Multiple regression analysis showed that having opportunities to be involved in dialogue support, making an effort to report their own cases at conferences and reading technical books and related journals were associated with the practice of dialogue support.
Conclusions: This study highlights the importance of encouraging nurses to practice more dialogue support, fostering a workplace culture that makes it easier for nurses to talk about their findings at conferences and developing of organized educational opportunities such as introduction to specialized books and relevant journals.
わが国では,高齢化に伴いがんによる死亡数が増加し続けており(国立がん研究センター,2023),あらゆる療養の場で,終末期がん患者とその家族へ質の高い看護の提供が求められている.がん患者と家族においては,思いを伝え合い,会話の深まりを感じることにより,QOLが向上する(小林ら,2016)と明らかにされており,双方をつなぐものとして対話は重要といえる.終末期患者の家族は,患者と家族間で対話の時間をもちたいニーズを有している(鈴木,2003)が,対話し難い体験を有していることも報告されている(大橋ら,2020).がん患者の遺族調査では,思いを伝えることや本音を聴くことを達成できた者は40%以下(山下,2016)であり,別れの言葉を言えなかったことや,聞けなかったことは,遺族の心残りや後悔となっている(坂口ら,2008;塩崎・中里,2010).昨今,独居高齢者世帯の増加,核家族化(内閣府,2023)に加え,女性の就業率も上昇し(男女共同参画局,2023),終末期の家族がいる状況であっても,いつでも面会や付き添いができる状況ではない.終末期がん患者と家族には,それぞれに対話のニーズがありながらも充足が困難であると推察される.死亡場所が病院である割合は約7割と高い現状からも(厚生労働省,2023),看護の実践として看護師には対話支援を担う重要な役割が期待されていると考える.
一方,終末期がん患者の家族ケアに携わる看護師は,死が迫る患者と家族に対してどのように接すれば良いのか困難を感じている(浅野ら,2019).これより看護師は葛藤しながら終末期がん患者と家族間の対話支援に臨んでいると推察される.終末期がん患者を抱える家族の家族機能の特徴として,共に過ごす時間を大切にし,家族の絆が強まる(石本,2009;中橋ら,2013)ことが挙げられており,患者と家族の相互作用に焦点を置き,家族機能を調整しながら介入することは重要といえる.それゆえ,看護師は,患者と家族を1つのケア単位としてみなし,交流を促し,終末期にできるだけ家族としてよい時間が過ごせるよう支援することが望まれる(Hudson, 2003).しかしながら,看護師が患者と家族を1つのケアユニットとして捉えて,どの程度終末期がん患者と家族間の対話支援に携わり,どのように実践しているかを明らかにした報告は見当たらない.看護師による対話支援の実施状況を明らかにすることは,対話支援の質を向上させるためにより強化が必要な項目を明確にすることにつながると考えられる.
これまでに看護師の家族看護実践について,人生経験と臨床経験を積むことで患者家族の理解が深まる(畠山ら,2015)と報告されている.また,家族への支援をチームで検討・相談する機会を持ちたいという看護師の希望は非常に高い(松坂ら,2010)ことが示され,家族への関わりに葛藤している看護師への組織的なサポートが課題となっている.さらに,終末期患者と家族と効果的に話し合うことを支援する医療者への教育の重要性と質の向上(Moir et al., 2015)も指摘されており,わが国における看護師への効果的な教育を検討する上で,対話支援と学習内容との関連を探索する必要がある.しかしながら,終末期がん患者と家族間の対話を支援する看護実践と看護師の終末期の家族支援に関する取り組み・意欲や職場からのサポート体制,学習経験等の関連要因は明らかにされていない.本研究により,関連要因が明らかになることで組織的な教育内容の充実,及び,臨床における職場環境の改善を行うための基礎的資料になると考えられる.
したがって,本研究では,終末期がん患者と家族間における看護師の対話支援の実践状況とその関連要因を明らかにする.
対話支援とは,終末期がん患者と家族が相互応答を通して関係性を維持・強化するために伝え合いたかった思いを交わせるよう導く支援と定義する.
独立行政法人福祉医療機構の福祉保健医療情報ネットワーク事業に登録された100床以上の病院から無作為抽出した120病院のうち,先行研究(浅野・古瀬,2023)に協力が得られた54施設を対象施設とした.看護部代表者に,研究依頼文と承諾書,返信用封筒を郵送し,調査協力の諾否,協力可能施設においては対象者数について回答を依頼し,38施設より調査協力の承諾が得られた.研究対象者の抽出は,看護部代表者に研究の趣旨に適した終末期がん患者をケアする機会のある病棟の選定を依頼し,選択された病棟に所属する看護師実務経験2年目以上の839名を対象とした.1年目の看護師は一般的な看護業務を覚え,職場環境に慣れることが優先されるため,研究対象者から除外した.また,看護師長以上の管理者は研究対象者から除外した.
2. 調査方法オンライン調査とした.2023年4月~6月に,看護部代表者を通して,対象者へQRコードつき研究説明書を配布した.回答期間は,文書を受け取ってから2週間以内の回答を依頼し,任意回答とした.
3. 調査項目 1) 個人属性年齢,性別,看護師実務経験年数,終末期がん患者の看護経験年数,所属する病棟の診療科,緩和ケア病棟・病床勤務経験,がん領域の認定看護師・専門看護師資格の有無,最終学歴,身近な人の看取りの有無を尋ねた.
2) 看護師の終末期がん患者と家族間の対話支援の実践状況看護師の終末期がん患者と家族間の対話支援自己評価尺度(以下,対話支援自己評価尺度)(浅野・古瀬,2023)を用いた.本尺度は,家族の信念やものの見方に重点を置き,施療的な会話を通して家族が癒えることを支援するIllness Beliefs Model(Wright & Bell, 2009, 2009/2011)を理論的基盤として開発されたもので,終末期がん患者と家族間の対話支援の実践状況を【患者と家族に対する深い理解】,【患者と家族の対話ニーズのアセスメント】,【患者と家族の相互の思いの尊重】,【チームアプローチによる対話支援】の4因子22項目から測定するものである.回答方法は「1.全く行っていない」「2.あまり行っていない」「3.時々行っている」「4.ほぼ行っている」「5.必ず行っている」までの5件法で,得点範囲は22~110点,点数が高いほど対話支援の実践頻度が高いことを示す.
また,終末期がん患者と家族間の対話支援に携わる機会に関しては,「全くない」「あまりない」「時々ある」「たくさんある」の4件法で尋ねた.
3) 対話支援の関連要因 (1) 学習経験「家族看護の理論」「家族アセスメント」「家族の支援方法」「家族支援の評価」の有無を尋ねた.また,終末期看護の学習内容に関しては,ELNEC-J(The End-of-Life Nursing Education Consortium Japan version)のモジュール(特定非営利活動法人日本緩和医療学会,2023)を参考に調査項目を選定し,「コミュニケーション」「喪失・悲嘆へのケア」「臨死期のケア」「遺族ケア」「文化への配慮」の有無を尋ねた.
(2) 終末期看護および家族看護への関心終末期看護および家族看護への関心の程度について「全くない」から「非常にある」の4件法で回答を得た.
(3) 終末期の家族支援に関する取り組み・意欲終末期の家族支援として,「先輩や上司に相談する」「他職種へ相談する」「カンファレンスで自分の担当事例を報告する」「専門書や関係する雑誌を読む」「主体的に,院内研修へ参加する」「自分の時間を使い,院外研修へ参加する」の項目に対する実施の有無を尋ねた.
(4) 職場からのサポート「カンファレンスで事例を検討する機会」「話しやすい同僚や先輩に,あなたの判断や考えを相談する機会」「認定看護師もしくは専門看護師に,困りごとを相談する機会」について,「全くそう思わない」から「非常にそう思う」の4件法で回答を得た.
4. 分析方法IBM SPSS Statistics(Ver.29)を使用し,以下の統計学的分析を行った.有意水準を5%とした.
1) 対話支援自己評価改訂版尺度の作成対話支援の実践状況を明らかにするに際し,対話支援自己評価尺度の項目数が多いため,将来的な活用の利便性を考慮して項目数を精錬するための改訂版尺度を作成することとした.
対話支援自己評価尺度原版の項目削減の手順として,下位尺度間の偽相関の影響を減らすとともに,下位尺度間の弁別性を上昇させるために,同時複数項目削減相関係数法(服部,1991)に従い,Collected Item-Total Correlationを算出し,0.3以下を示す項目を削除した.さらに,逐次単数項目削減主成分分析法(服部,1991)に従い,第1主成分の因子負荷量が低い項目を削除した.同様の手順で1項目ずつ削除していき,Cronbach’s α係数と寄与率の双方が担保できる下位尺度の項目数を決定した.その後,主因子法,プロマックス回転による探索的因子分析を行った.次いで,探索的因子分析により明らかになった因子構造の妥当性を検討するために,SPSS Amos(Ver.26)を用いた確認的因子分析を行った.開発時の探索的因子分析で得られた4因子により構成されていると仮定し,全ての因子間に共分散を仮定したモデルで分析を行った.モデルの適合度指数は,χ2値,適合度指標(GFI),自由度修正済み適合度指標(AGFI),比較適合度指標(CFI),および平均二乗誤差平方根(RMSEA)を用いた.適合度はGFI,AGFI,CFIが0.9以上(小塩,2021),RMSEAが0.08以下(Mohammad et al., 2019)の基準を参考とした.また,看護師の終末期ケアに関する先行研究(吉岡ら,2009;小野寺ら,2013)で群別差異が報告されていることから,対応のないt検定により,緩和ケア病棟・病床勤務経験の有無,がん領域の認定看護師・専門看護師資格の有無で2群間の得点差を求め,既知グループ妥当性による構成概念妥当性を検討した.信頼性は,尺度全体と各因子のCronbach’s α係数を算出した.
2) 看護師の終末期がん患者と家族間の対話支援の実践状況個人特性,対話支援自己評価改訂版尺度全体の合計得点,下位尺度得点,各平均値を算出した.
3) 対話支援の関連要因の分析調査項目の変数に応じて,対応のないt検定,Pearsonの積立相関係数を用いて検討した.対話支援自己評価改訂版尺度の合計得点及び下位尺度得点を従属変数,終末期がん患者と家族間の対話支援の機会,学習経験,終末期看護および家族看護への関心,終末期の家族支援に関する取り組み・意欲,職場からのサポートを独立変数,対象者の個人属性を調整変数として,強制投入した重回帰分析を行った.なお,独立変数と調整変数は,単変量解析でp < 0.1を示した変数を選択して投入した.多重共線性を避けるため(Oʼbrien,2007),独立変数間で強い相関を示した年齢と看護師実務経験年数のうち,年齢を除外した.質的変数の「最終学歴」については,2群のカテゴリーデータ(高校専攻科・5年一貫,専門学校を0,短期大学,大学,大学院を1)として対応した.「対話支援に携わる機会」に関しては,「あまりない」および「全くない」を0,「時々ある」および「たくさんある」は1とした.「終末期看護の関心」「家族看護の関心」に関しては,「あまりない」および「全くない」を0,「少しある」および「非常にある」は1とした.「カンファレンスで事例を検討する時間と機会」「話しやすい同僚や先輩に自分の判断を相談する機会」「認定看護師,専門看護師に困りごとを相談する機会」に関しては,「そう思わない」および「全くそう思わない」を0,「そう思う」および「非常にそう思う」は1とした.
5. 倫理的配慮本研究は,仙台赤門短期大学倫理委員会(承認番号2022-5)の承認を得て実施した.対象者に対し研究の目的,趣旨を書面で説明し,研究協力のための同意を得た.研究への参加は自由意思とし,無記名とした.また,研究への協力の諾否や中断により,対象者への不利益は生じないことを書面に明記した.プライバシーの保護,学会または論文で公表することがあること等を説明し,アンケート冒頭に同意確認欄を設け,同意が確認できた者を研究対象者とした.得られたデータは,研究担当者のみが情報を取り扱い,研究終了後,一定の保管期間を経過した後に,情報を復元できないよう処理した上で,適切に廃棄することを申し添えた.
296名の対象者より回答が得られた(回答率35.3%).欠損値はなかったため,全てを有効回答として分析に用いた.平均年齢は37.9 ± 11.2歳(平均±標準偏差),平均看護師実務経験年数は14.8 ± 10.1年であった(表1).
n = 296
| 項目 | 内訳 | 人数 | (%) |
|---|---|---|---|
| 【個人属性】 | |||
| 性別 | 男性 | 19 | (6.4) |
| 女性 | 277 | (93.6) | |
| 年齢 | 平均±標準偏差 | 37.9 ± 11.2 | |
| 範囲 | 22~65 | ||
| 20~29歳 | 93 | (31.4) | |
| 30~39歳 | 71 | (24.0) | |
| 40~49歳 | 78 | (26.4) | |
| 50~59歳 | 46 | (15.5) | |
| 60歳以上 | 8 | (2.7) | |
| 看護師実務経験年数 | 平均±標準偏差 | 14.8 ± 10.1 | |
| 範囲 | 2~41 | ||
| 2年 | 18 | (6.1) | |
| 3~4年 | 26 | (12.2) | |
| 5~9年 | 64 | (21.5) | |
| 10~19年 | 73 | (24.8) | |
| 20~29年 | 82 | (27.7) | |
| 30~39年 | 21 | (7.0) | |
| 40年以上 | 2 | (0.6) | |
| 終末期がん患者の看護経験年数 | 平均±標準偏差 | 8.0 ± 7.1 | |
| 範囲 | 0.5~32 | ||
| 現在所属する病棟の診療科 | 内科系 | 66 | (22.3) |
| 外科系 | 88 | (29.7) | |
| 混合 | 81 | (27.4) | |
| 緩和ケア | 58 | (19.6) | |
| 地域包括ケア・療養 | 3 | (1.0) | |
| 緩和ケア病棟・病床勤務経験 | あり | 93 | (31.4) |
| なし | 203 | (68.6) | |
| 緩和ケア病棟・病床の勤務経験年数(n = 93) | 平均±標準偏差 | 5.2 ± 5.0 | |
| 範囲 | 0.5~30 | ||
| がん領域の認定看護師・専門看護師資格 | あり | 16 | (5.4) |
| なし | 280 | (94.6) | |
| 最終学歴 | 高校専攻科・5年一貫 | 13 | (4.4) |
| 専門学校 | 207 | (69.9) | |
| 短期大学 | 18 | (6.1) | |
| 大学 | 41 | (13.9) | |
| 大学院 | 17 | (5.7) | |
| 身近な人の看取り経験 | あり | 201 | (67.9) |
| なし | 95 | (32.1) |
22項目中【患者と家族の対話ニーズのアセスメント】の4項目が削除され(表2),18項目を用いて因子分析を行った.4因子が抽出され,因子負荷量は0.4以上を示し,複数因子に0.4以上の負荷を示さないことが確認された(表3).また,適合度指標はχ2 = 378.717,p < .000,GFI = 0.879,AGFI = 0.839,CFI = 0.928,RMSEA = 0.081であった.緩和ケア病棟・病床勤務経験の有無(p < .001),がん領域の認定看護師・専門看護師資格の有無(p = .015)で2群間に有意な得点差が認められた.Cronbach’s α係数は,改訂版尺度全体0.947,下位尺度0.819~0.91であり,改訂版尺度は構成概念を再編せず4因子構造を保っており,点数化して分析が可能であると判断した.
n = 296
| 最小値 | 最大値 | 平均値± 標準偏差 |
原版の因子 | 改訂版の因子 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 1.家族から気軽に声を掛けられる雰囲気をつくるようにしている | 1 | 5 | 3.89 ± 0.77 | 患者と家族に対する深い理解 | 患者と家族に対する深い理解 |
| 2.入院時から患者のみならず家族の様子に関心を向けている | 1 | 5 | 3.84 ± 0.82 | 患者と家族に対する深い理解 | 患者と家族に対する深い理解 |
| 3.先入観をもたずに患者と家族と接することを心がけている | 2 | 5 | 3.74 ± 0.73 | 患者と家族に対する深い理解 | 患者と家族に対する深い理解 |
| 4.それぞれの家族の立場で物事を理解しようとしている | 2 | 5 | 3.85 ± 0.69 | 患者と家族に対する深い理解 | 患者と家族に対する深い理解 |
| 5.患者と家族がお互いをどのように思っているかについて関心を向けている | 1 | 5 | 3.79 ± 0.74 | 患者と家族に対する深い理解 | 患者と家族の対話ニーズのアセスメント |
| 6.患者と家族がお互いに何を伝えたいのかについて関心をもっている | 1 | 5 | 3.74 ± 0.79 | 患者と家族の対話ニーズのアセスメント | 患者と家族の対話ニーズのアセスメント |
| 7.患者と家族がお互いの気持ちを言えないようなときには,なぜなのかを考えている | 1 | 5 | 3.6 ± 0.83 | 患者と家族の対話ニーズのアセスメント | 患者と家族の対話ニーズのアセスメント |
| 8.終末期の病状,心理的側面から患者と家族の対話のニーズをアセスメントしている | 2 | 5 | 3.53 ± 0.82 | 患者と家族の対話ニーズのアセスメント | 患者と家族の対話ニーズのアセスメント |
| 9.一見強い口調で話す家族がいた場合,家族は何を言いたいのかアセスメントしている | 1 | 5 | 3.54 ± 0.83 | 患者と家族の対話ニーズのアセスメント | 患者と家族の対話ニーズのアセスメント |
| 10.患者と家族が過ごしてきたこれまでの背景に関心をもっている | 2 | 5 | 3.77 ± 0.80 | 患者と家族の対話ニーズのアセスメント | 患者と家族に対する深い理解 |
| 11.世代や性別により,言葉に出して伝えることへの違いがあると認識している | 1 | 5 | 3.68 ± 0.84 | 患者と家族の対話ニーズのアセスメント | ※2 |
| 12.何気ない日常生活に関する話題を用いて,患者と家族をつなぐきっかけをつくっている | 1 | 5 | 3.61 ± 0.84 | 患者と家族の対話ニーズのアセスメント | ※2 |
| 13.家族の患者を思う気持ちを理解して,対話ができるよう促している | 1 | 5 | 3.66 ± 0.76 | 患者と家族の対話ニーズのアセスメント | ※2 |
| 14.家族に「患者さんに伝えたいことはありませんか?」と尋ねている | 1 | 5 | 3.38 ± 0.96 | 患者と家族の対話ニーズのアセスメント | ※1 |
| 15.家族が患者を思う気持ちを傾聴している | 2 | 5 | 3.89 ± 0.77 | 患者と家族の相互の思いの尊重 | 患者と家族の相互の思いの尊重 |
| 16.患者と家族に自分の思いを一方的に押し付けないようにしている | 2 | 5 | 4.06 ± 0.74 | 患者と家族の相互の思いの尊重 | 患者と家族の相互の思いの尊重 |
| 17.家族へ心配かけたくない患者の気持ちを理解している | 2 | 5 | 3.97 ± 0.70 | 患者と家族の相互の思いの尊重 | 患者と家族の相互の思いの尊重 |
| 18.発語が困難になってきた患者の思いを汲み取って支援している | 1 | 5 | 3.78 ± 0.74 | 患者と家族の相互の思いの尊重 | 患者と家族の相互の思いの尊重 |
| 19.患者を思う家族の気持ちを看護師間で共有するようにしている | 1 | 5 | 3.89 ± 0.79 | 患者と家族の相互の思いの尊重 | 患者と家族の相互の思いの尊重 |
| 20.面会時の患者と家族の様子を記録している | 1 | 5 | 3.49 ± 0.98 | チームアプローチによる対話支援 | チームアプローチによる対話支援 |
| 21.他の看護師が分かるように,患者と家族の価値観を含んだ情報を記録している | 1 | 5 | 3.5 ± 0.90 | チームアプローチによる対話支援 | チームアプローチによる対話支援 |
| 22.患者と家族に向き合うために,チームの力を活用している | 1 | 5 | 3.61 ± 0.85 | チームアプローチによる対話支援 | チームアプローチによる対話支援 |
※1 同時複数項目削減相関係数法にて削除 ※2 逐次単数項目削減主成分分析法にて削除
n = 296
| 第1因子 | 第2因子 | 第3因子 | 第4因子 | 共通性 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 第1因子【患者と家族の対話ニーズのアセスメント】 | |||||
| 7.患者と家族がお互いの気持ちを言えないようなときには,なぜなのかを考えている | 0.959 | 0.036 | −0.061 | −0.089 | 0.792 |
| 8.終末期の病状,心理的側面から患者と家族の対話のニーズをアセスメントしている | 0.817 | −0.136 | 0.118 | 0.075 | 0.711 |
| 9.一見強い口調で話す家族がいた場合,家族は何を言いたいのかアセスメントしている | 0.721 | 0.085 | 0.132 | −0.158 | 0.584 |
| 6.患者と家族がお互いに何を伝えたいのかについて関心をもっている | 0.593 | 0.196 | −0.025 | 0.13 | 0.716 |
| 5.患者と家族がお互いをどのように思っているかについて関心を向けている | 0.519 | 0.384 | −0.203 | 0.121 | 0.697 |
| 第2因子【患者と家族に対する深い理解】 | |||||
| 2.入院時から患者のみならず家族の様子に関心を向けている | −0.07 | 0.888 | 0.116 | −0.094 | 0.708 |
| 1.家族から気軽に声を掛けられる雰囲気をつくるようにしている | 0.06 | 0.667 | 0.132 | −0.085 | 0.55 |
| 4.それぞれの家族の立場で物事を理解しようとしている | 0.234 | 0.565 | −0.107 | 0.154 | 0.674 |
| 3.先入観をもたずに患者と家族と接することを心がけている | 0.23 | 0.537 | −0.058 | 0.036 | 0.528 |
| 10.患者と家族が過ごしてきたこれまでの背景に関心をもっている | 0.201 | 0.422 | 0.167 | 0.057 | 0.574 |
| 第3因子【チームアプローチによる対話支援】 | |||||
| 20.面会時の患者と家族の様子を記録している | −0.103 | 0.057 | 0.851 | −0.058 | 0.626 |
| 21.他の看護師が分かるように,患者と家族の価値観を含んだ情報を記録している | 0.149 | −0.027 | 0.811 | −0.071 | 0.713 |
| 22.患者と家族に向き合うために,チームの力を活用している | −0.014 | 0.127 | 0.553 | 0.122 | 0.517 |
| 第4因子【患者と家族の相互の思いの尊重】 | |||||
| 16.患者と家族に自分の思いを一方的に押し付けないようにしている | −0.117 | −0.036 | −0.152 | 0.93 | 0.551 |
| 18.発語が困難になってきた患者の思いを汲み取って支援している | 0.139 | −0.187 | 0.187 | 0.656 | 0.58 |
| 17.家族へ心配かけたくない患者の気持ちを理解している | 0.025 | 0.171 | 0.018 | 0.596 | 0.579 |
| 19.患者を思う家族の気持ちを看護師間で共有するようにしている | 0.006 | 0.028 | 0.285 | 0.476 | 0.517 |
| 15.家族が患者を思う気持ちを傾聴している | 0.046 | 0.204 | 0.154 | 0.45 | 0.583 |
| 回転後の負荷量平方和 | 7.918 | 7.71 | 5.864 | 7.071 | |
| 寄与率(%) | 50.902 | 5.467 | 3.604 | 2.242 | |
| 累積寄与率(%) | 50.902 | 56.37 | 59.974 | 62.216 | |
| 因子相関 | |||||
| 第1因子 | 1 | ||||
| 第2因子 | 0.799 | 1 | |||
| 第3因子 | 0.602 | 0.605 | 1 | ||
| 第4因子 | 0.728 | 0.719 | 0.638 | 1 | |
| Cronbach’s α 係数 | 0.91 | 0.874 | 0.819 | 0.847 | 0.947 |
Kaiser-Meyer-Olkin = 0.941(p < .001) 主因子法,プロマックス回転
終末期がん患者と家族間の対話支援に携わる機会は,「たくさんある」43名(14.5%),「時々ある」161名(54.4%)と,機会があるという回答が68.9%であった.一方で,「あまりない」86名(29.1%),「全くない」6名(2.0%)と,機会がないという回答が31.1%であった(表4).
n = 296
| 項目 | 内訳 | 人数 | (%) |
|---|---|---|---|
| 【対話支援の機会】 | |||
| 終末期がん患者と家族間の対話支援に 携わる機会 |
たくさんある | 43 | (14.5) |
| 時々ある | 161 | (54.4) | |
| あまりない | 86 | (29.1) | |
| 全くない | 6 | (2.0) | |
| 【学習経験】 | |||
| 終末期看護に関する学習経験 (学習内容は複数回答) |
あり | 207 | (69.9) |
| コミュニケーション | 161 | (54.4) | |
| 喪失・悲嘆へのケア | 162 | (54.7) | |
| 臨死期のケア | 153 | (51.7) | |
| 遺族ケア | 126 | (42.6) | |
| 文化への配慮 | 29 | (9.8) | |
| なし | 89 | (30.1) | |
| 家族看護に関する学習経験 (学習内容は複数回答) |
あり | 132 | (44.6) |
| 家族看護の理論 | 78 | (26.4) | |
| 家族アセスメント | 75 | (25.3) | |
| 家族の支援方法 | 104 | (35.1) | |
| 家族支援の評価 | 35 | (11.8) | |
| なし | 164 | (55.4) | |
| 【終末期看護および家族看護への関心】 | |||
| 終末期看護への関心 | 非常にある | 120 | (40.5) |
| 少しある | 158 | (53.4) | |
| あまりない | 16 | (5.4) | |
| 全くない | 2 | (0.7) | |
| 家族看護への関心 | 非常にある | 121 | (40.9) |
| 少しある | 156 | (52.7) | |
| あまりない | 19 | (6.4) | |
| 全くない | 0 | (0.0) | |
| 【終末期の家族支援に関する取り組み・意欲】 | |||
| 終末期の家族支援 (複数回答) |
あり | 151 | (51.0) |
| 先輩や上司に相談する | 101 | (34.1) | |
| 他職種へ相談する | 122 | (41.2) | |
| カンファレンスで自分の症例を報告する | 67 | (22.6) | |
| 専門書や関係する雑誌を読む | 77 | (26.0) | |
| 主体的に,院内研修へ参加する | 44 | (14.9) | |
| 自分の時間を使い,院外研修へ参加する | 60 | (20.3) | |
| なし | 145 | (49.0) | |
| 【職場からのサポート】 | |||
| カンファレンスで事例を検討する時間と 機会がある |
非常にそう思う | 45 | (15.2) |
| そう思う | 167 | (56.4) | |
| そう思わない | 70 | (23.6) | |
| 全くそう思わない | 14 | (4.7) | |
| 話しやすい同僚や先輩に,あなたの判断や 考えを相談する時間と機会がある |
非常にそう思う | 60 | (20.3) |
| そう思う | 195 | (65.9) | |
| そう思わない | 38 | (12.8) | |
| 全くそう思わない | 3 | (1.0) | |
| 認定看護師もしくは専門看護師に, 困りごとを相談する時間と機会がある |
非常にそう思う | 51 | (17.2) |
| そう思う | 175 | (59.1) | |
| そう思わない | 55 | (18.6) | |
| 全くそう思わない | 15 | (5.1) | |
対話支援自己評価改訂版尺度の合計得点の平均値は,90点中67.50 ± 10.32点であった.各下位尺度の平均得点は,【患者と家族の相互の思いの尊重】3.92 ± 0.59,【患者と家族に対する深い理解】3.82 ± 0.62,【患者と家族の対話ニーズのアセスメント】3.64 ± 0.69,【チームアプローチによる対話支援】3.53 ± 0.78であった.
終末期看護に関する学習経験を有する者は207名(69.9%)であり,具体的な学習内容は,喪失・悲嘆へのケア162名(54.7%),コミュニケーション161名(54.4%),臨死期のケア153名(51.7%),遺族ケア126名(42.6%),文化への配慮29名(9.8%)であった.家族看護に関する学習経験を有する者は132名(44.6%)であり,具体的な学習内容は,家族の支援方法104名(35.1%),家族看護の理論78名(26.4%),家族アセスメント75名(25.3%),家族支援の評価35名(11.8%)であった.なお,終末期看護および家族看護への関心について,「非常にある」「少しある」と回答した者は,全体の約9割を占めた.
終末期の家族支援における取り組み・意欲では,他職種へ相談する122名(41.2%),先輩や上司に相談する101名(34.1%),専門書や関係する雑誌を読む77名(26.0%),カンファレンスで自分の症例を報告する67名(22.6%),自分の時間を使い,院外研修へ参加する60名(20.3%),主体的に院内研修へ参加する44名(14.9%)であった.
職場からのサポートでは,カンファレンスで事例を検討する時間と機会があること,および話しやすい同僚や先輩に,あなたの判断や考えを相談する時間と機会があることへ「非常にそう思う」「そう思う」と回答した者は全体の約8割であった.認定看護師もしくは専門看護師に,困りごとを相談する時間と機会があることへ「非常にそう思う」「そう思う」と回答した者は全体の約7割であった.
4. 対話支援の関連要因の分析個人属性,学習経験,終末期看護および家族看護への関心,終末期の家族支援に関する取り組み・意欲,職場からのサポートと,対話支援自己評価改訂版尺度の合計得点との単変量解析の結果は表5の通りである.
n = 296
| 項目 | 内訳 | n | (%) | 平均値± 標準偏差 |
合計得点 平均値±標準偏差 または相関係数 |
p値 | T |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 【個人属性】 | |||||||
| 性別1)※ | 男性 | 19 | (6.4) | 62.0 ± 9.5 | 0.016 | 2.418 | |
| 女性 | 277 | (93.6) | 67.9 ± 10.3 | ||||
| 年齢2) | 296 | 37.9 ± 11.2 | .162 | 0.005 | |||
| 看護師実務経験年数2)※ | 296 | 14.8 ± 10.1 | .200 | <.001 | |||
| がん看護経験年数2)※ | 296 | 8.0 ± 7.1 | .174 | 0.003 | |||
| 緩和ケア病棟・病床勤務経験1)※ | あり | 93 | (31.4) | 71.5 ± 9.3 | <.001 | −4.611 | |
| なし | 203 | (68.6) | 65.7 ± 10.3 | ||||
| 緩和ケア病棟・病床勤務経験年数2) | 93 | 5.2 ± 5.0 | .073 | 0.485 | |||
| がん看護領域の認定看護師・専門看護師資格1)※ | あり | 16 | (7.1) | 73.6 ± 9.4 | 0.015 | −2.436 | |
| なし | 280 | (92.9) | 67.2 ± 10.3 | ||||
| 学歴1) | 高校専攻科・5年一貫,専門学校 | 220 | (74.3) | 68.1 ± 10.2 | 0.114 | 1.586 | |
| 短期大学,大学,大学院 | 76 | (25.7) | 65.9 ± 10.5 | ||||
| 身近な人の看取り経験1) | あり | 201 | (67.9) | 67.9 ± 10.4 | 0.378 | −0.882 | |
| なし | 95 | (32.1) | 66.7 ± 10.3 | ||||
| 【対話支援の機会】 | |||||||
| 終末期がん患者と家族間の対話支援に携わる機会1) | 時々ある,たくさんある | 204 | (68.9) | 70.0 ± 9.8 | <.001 | −6.606 | |
| あまりない,全くない | 92 | (31.1) | 62.0 ± 9.3 | ||||
| 【学習経験】 | |||||||
| コミュニケーションの学習経験1) | あり | 161 | (54.4) | 69.6 ± 10.4 | <.001 | −3.852 | |
| なし | 135 | (45.6) | 65.0 ± 9.7 | ||||
| 喪失・悲嘆へのケアの学習経験1) | あり | 162 | (54.7) | 70.2 ± 10.0 | <.001 | −5.133 | |
| なし | 134 | (45.3) | 64.2 ± 9.8 | ||||
| 臨死期のケアの学習経験1) | あり | 153 | (51.7) | 70.2 ± 9.5 | <.001 | −4.901 | |
| なし | 143 | (48.3) | 64.6 ± 10.4 | ||||
| 遺族ケアの学習経験1) | あり | 126 | (42.6) | 71.2 ± 9.3 | <.001 | −5.628 | |
| なし | 170 | (57.4) | 64.7 ± 10.2 | ||||
| 文化への配慮の学習経験1) | あり | 29 | (9.8) | 73.2 ± 9.4 | 0.002 | −3.204 | |
| なし | 267 | (90.2) | 66.9 ± 10.2 | ||||
| 家族看護の理論の学習経験1) | あり | 78 | (26.4) | 71.9 ± 10.3 | <.001 | −4.543 | |
| なし | 218 | (73.6) | 65.9 ± 9.9 | ||||
| 家族アセスメントの学習経験1) | あり | 75 | (25.3) | 72.0 ± 9.5 | <.001 | −4.541 | |
| なし | 221 | (74.7) | 66.0 ± 10.2 | ||||
| 家族の支援方法の学習経験1) | あり | 104 | (35.1) | 71.2 ± 9.8 | <.001 | −4.665 | |
| なし | 192 | (64.9) | 65.5 ± 10.1 | ||||
| 家族支援の評価の学習経験1) | あり | 35 | (11.8) | 73.5 ± 9.9 | <.001 | −3.753 | |
| なし | 261 | (88.2) | 66.7 ± 10.1 | ||||
| 【終末期看護および家族看護への関心】 | |||||||
| 終末期看護の関心1) | 少しある,非常にある | 278 | (93.9) | 68.0 ± 10.2 | <.001 | −3.428 | |
| あまりない,全くない | 18 | (6.1) | 59.6 ± 9.9 | ||||
| 家族看護の関心1) | 少しある,非常にある | 277 | (93.6) | 68.0 ± 10.2 | <.001 | −3.546 | |
| あまりない,全くない | 19 | (6.4) | 59.5 ± 9.4 | ||||
| 【終末期の家族支援に関する取り組み・意欲】 | |||||||
| 先輩や上司に相談する1) | 相談している | 101 | (34.1) | 70.9 ± 9.2 | <.001 | −4.17 | |
| 相談していない | 195 | (65.9) | 65.7 ± 10.5 | ||||
| 他職種へ相談する1) | 相談している | 122 | (41.2) | 71.5 ± 9.4 | <.001 | −5.978 | |
| 相談していない | 174 | (58.8) | 64.7 ± 10.0 | ||||
| カンファレンスで自分の症例を報告する1) | 努めている | 67 | (22.6) | 74.1 ± 9.4 | <.001 | −6.29 | |
| 努めていない | 229 | (77.4) | 65.6 ± 9.8 | ||||
| 専門書や関係する雑誌を読む1) | 読んでいる | 77 | (26.0) | 72.8 ± 9.0 | <.001 | −5.44 | |
| 読んでいない | 219 | (74.0) | 65.6 ± 10.1 | ||||
| 主体的に,院内研修へ参加する1) | 参加している | 44 | (14.9) | 71.4 ± 9.6 | 0.006 | −2.771 | |
| 参加していない | 252 | (85.1) | 66.8 ± 10.3 | ||||
| 自分の時間を使い,院外研修へ参加する1) | 参加している | 60 | (20.3) | 71.8 ± 9.1 | <.001 | −3.692 | |
| 参加していない | 236 | (79.7) | 66.4 ± 10.4 | ||||
| 【職場からのサポート】 | |||||||
| カンファレンスで事例を検討する時間と機会がある1) | そう思う,非常にそう思う | 212 | (71.6) | 68.6 ± 10.1 | 0.003 | −3.048 | |
| そう思わない,全くそう思わない | 84 | (28.4) | 64.6 ± 10.3 | ||||
| 話しやすい同僚や先輩に自分の判断を相談する機会がある1) | そう思う,非常にそう思う | 255 | (86.1) | 68.4 ± 10.0 | <.001 | −3.631 | |
| そう思わない,全くそう思わない | 41 | (13.9) | 62.2 ± 11.1 | ||||
| 認定・専門看護師に困りごとを相談する機会がある1) | そう思う,非常にそう思う | 226 | (76.4) | 68.6 ± 10.2 | 0.001 | −3.255 | |
| そう思わない,全くそう思わない | 70 | (23.6) | 64.0 ± 10.0 | ||||
1)対応のないt検定 2)Pearsonの積立相関係数
※調整変数
以降,重回帰分析の結果,統計学的に有意な関連が認められた変数のうち標準化偏回帰係数の絶対値が0.1以上を示したものについて述べる(表6).
n = 296
| 尺度合計得点 | 第1因子 患者と家族の 対話ニーズの アセスメント |
第2因子 患者と家族に 対する深い理解 |
第3因子 チームアプローチ による対話支援 |
第4因子 患者と家族の 相互の思いの尊重 |
VIF | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| β | P値 | β | P値 | β | P値 | β | P値 | β | P値 | ||
| 【個人属性】 | |||||||||||
| 性別1) | −0.127 | 0.016 | −0.057 | 0.305 | −0.139 | 0.008 | −0.103 | 0.06 | −0.149 | 0.008 | 1.121 |
| 看護師実務経験年数 | 0.025 | 0.702 | 0.01 | 0.888 | 0.059 | 0.372 | −0.038 | 0.581 | 0.045 | 0.525 | 1.792 |
| がん看護経験年数 | −0.034 | 0.612 | 0.028 | 0.69 | −0.016 | 0.814 | −0.071 | 0.307 | −0.079 | 0.27 | 1.844 |
| 緩和ケア病棟・病床勤務経験2) | 0.081 | 0.159 | 0.072 | 0.239 | 0.075 | 0.192 | 0.054 | 0.368 | 0.077 | 0.206 | 1.341 |
| がん領域の認定看護師・専門看護師資格3) | 0.044 | 0.466 | 0.08 | 0.214 | 0.011 | 0.851 | −0.009 | 0.884 | 0.056 | 0.382 | 1.498 |
| 【対話支援の機会】 | |||||||||||
| 終末期がん患者と家族間の対話支援に携わる機会4) | 0.213 | <.001 | 0.185 | 0.002 | 0.148 | 0.008 | 0.209 | <.001 | 0.209 | <.001 | 1.263 |
| 【学習経験】5) | |||||||||||
| コミュニケーションの学習経験 | −0.052 | 0.43 | −0.022 | 0.75 | −0.085 | 0.203 | −0.01 | 0.887 | −0.059 | 0.398 | 1.79 |
| 喪失・悲嘆へのケアの学習経験 | 0.127 | 0.084 | 0.1 | 0.2 | 0.163 | 0.028 | 0.159 | 0.039 | 0.03 | 0.699 | 2.213 |
| 臨死期のケアの学習経験 | −0.007 | 0.925 | −0.02 | 0.801 | −0.039 | 0.605 | −0.034 | 0.663 | 0.067 | 0.402 | 2.289 |
| 遺族ケアの学習経験 | 0.093 | 0.18 | 0.054 | 0.464 | 0.098 | 0.16 | 0.071 | 0.328 | 0.103 | 0.163 | 1.976 |
| 文化への配慮の学習経験 | −0.051 | 0.402 | −0.02 | 0.76 | −0.028 | 0.651 | −0.068 | 0.285 | −0.073 | 0.263 | 1.531 |
| 家族看護の理論の学習経験 | 0.032 | 0.626 | 0.003 | 0.969 | 0.043 | 0.51 | −0.003 | 0.963 | 0.065 | 0.348 | 1.735 |
| 家族アセスメントの学習経験 | 0.073 | 0.317 | 0.097 | 0.213 | 0.023 | 0.75 | 0.075 | 0.322 | 0.058 | 0.454 | 2.188 |
| 家族の支援方法の学習経験 | 0.006 | 0.934 | −0.021 | 0.777 | 0.002 | 0.975 | 0.073 | 0.328 | −0.014 | 0.851 | 2.074 |
| 家族支援の評価の学習経験 | 0.066 | 0.317 | 0.06 | 0.393 | 0.095 | 0.148 | 0.049 | 0.471 | 0.02 | 0.77 | 1.762 |
| 【終末期看護および家族看護への関心】6) | |||||||||||
| 終末期看護への関心 | 0.081 | 0.212 | 0.033 | 0.638 | 0.077 | 0.24 | 0.062 | 0.359 | 0.116 | 0.095 | 1.735 |
| 家族看護への関心 | 0.011 | 0.867 | 0.013 | 0.853 | 0.104 | 0.118 | −0.031 | 0.654 | −0.061 | 0.382 | 1.791 |
| 【終末期の家族支援に関する取り組み・意欲】7) | |||||||||||
| 先輩や上司に相談する | −0.089 | 0.257 | −0.068 | 0.412 | −0.096 | 0.221 | −0.106 | 0.195 | −0.046 | 0.585 | 2.515 |
| 他職種へ相談する | 0.157 | 0.063 | 0.131 | 0.144 | 0.158 | 0.063 | 0.192 | 0.029 | 0.079 | 0.379 | 2.911 |
| カンファレンスで自分の症例を報告する | 0.186 | 0.004 | 0.152 | 0.024 | 0.158 | 0.013 | 0.217 | 0.001 | 0.133 | 0.048 | 1.637 |
| 専門書や関係する雑誌を読む | 0.135 | 0.035 | 0.121 | 0.076 | 0.13 | 0.044 | 0.076 | 0.254 | 0.135 | 0.047 | 1.667 |
| 主体的に,院内研修へ参加する | −0.095 | 0.114 | −0.094 | 0.141 | −0.121 | 0.045 | −0.074 | 0.237 | −0.036 | 0.577 | 1.466 |
| 自分の時間を使い,院外研修へ参加する | −0.101 | 0.119 | −0.072 | 0.301 | −0.039 | 0.55 | −0.15 | 0.028 | −0.111 | 0.108 | 1.733 |
| 【職場からのサポート】8) | |||||||||||
| カンファレンスで事例を検討する機会 | 0.015 | 0.796 | −0.013 | 0.829 | 0.064 | 0.258 | 0.05 | 0.4 | −0.041 | 0.498 | 1.316 |
| 話しやすい同僚や先輩に,あなたの判断や考えを相談する機会 | 0.038 | 0.505 | 0.022 | 0.712 | −0.006 | 0.911 | 0.032 | 0.582 | 0.087 | 0.149 | 1.3 |
| 認定看護師もしくは専門看護師に,困りごとを相談する機会 | 0.07 | 0.202 | 0.097 | 0.099 | 0.037 | 0.503 | 0.054 | 0.348 | 0.052 | 0.379 | 1.241 |
| R | 0.589 | 0.508 | 0.584 | 0.539 | 0.509 | ||||||
| R2乗 | 0.347 | 0.258 | 0.341 | 0.29 | 0.259 | ||||||
| 調整済み R2乗 | 0.283 | 0.187 | 0.277 | 0.222 | 0.187 | ||||||
β:標準化偏回帰係数,R:重相関係数,R2:決定係数
1)性別 0:女性,1:男性
2)緩和ケア病棟・病床勤務経験 0:なし,1:あり
3)がん領域の認定看護師・専門看護師資格 0:なし,1:あり
4)終末期がん患者と家族間の対話支援に携わる機会 0:ない(あまりない,全くない),1:ある(時々ある,たくさんある)
5)学習経験 0:なし,1:あり
6)関心 0:ない(あまりない,全くない),1:ある(少しある,非常にある)
7)終末期の家族支援に関する取り組み・意欲 0:なし,1:あり
8)職場からのサポート 0:ない(そう思わない,全くそう思わない),1:ある(そう思う,非常にそう思う)
合計得点では,終末期がん患者と家族間の対話支援に携わる機会がある人(β = 0.213, p < .001),カンファレンスで自分の担当事例を報告する人(β = 0.186, p = 0.004),専門書や関係する雑誌を読む人(β = 0.135, p = 0.035)が有意に高かった.一方,男性(β = –0.127, p = 0.016)は女性よりも有意に低かった.
第1因子【患者と家族の対話ニーズのアセスメント】では,終末期がん患者と家族間の対話支援に携わる機会がある人(β = 0.185, p = 0.002),カンファレンスで自分の担当事例を報告する人(β = 0.152, p = 0.024)が有意に高かった.
第2因子【患者と家族に対する深い理解】では,喪失・悲嘆へのケアの学習経験がある人(β = 0.163, p = 0.028),カンファレンスで自分の担当事例を報告する人(β = 0.158, p = 0.013),終末期がん患者と家族間の対話支援に携わる機会がある人(β = 0.148, p = 0.008),専門書や関係する雑誌を読む人(β = 0.13, p = 0.044)が有意に高かった.一方,男性(β = –0.139, p = 0.008),主体的に院内研修へ参加する人(β = –0.121, p = 0.045)は有意に低かった.
第3因子【チームアプローチによる対話支援】では,カンファレンスで自分の担当事例を報告する人(β = 0.217, p = 0.001),終末期がん患者と家族間の対話支援に携わる機会がある人(β = 0.209, p < .001),他職種へ相談する人(β = 0.192, p = 0.029),喪失・悲嘆へのケアの学習経験がある人(β = 0.159, p = 0.039)が有意に高かった.一方,自分の時間を使い,院外研修へ参加する人(β = –0.15, p = 0.028),男性(β = –0.103, p = 0.06)」は有意に低かった.
第4因子【患者と家族の相互の思いの尊重】では,終末期がん患者と家族間の対話支援に携わる機会がある人(β = 0.209, p < .001),専門書や関係する雑誌を読む人(β = 0.135, p = 0.047),カンファレンスで自分の担当事例を報告する人(β = 0.133, p = 0.048)が有意に高かった.一方,男性(β = –0.149, p = 0.008)は女性よりも有意に低かった.
本研究の対象者は,看護師実務経験年数が平均14.8 ± 10.1と15年程であり,終末期がん患者のケア経験者,かつ,終末期看護と家族看護への関心が高い集団という特徴があった.しかし,終末期がん患者と家族間の対話支援に携わる機会は,「時々ある」と回答した対象者が54.4%と最も多く,次いで多かったのは「あまりない」の29.1%であった.がん患者の看取りの増加や患者と家族間の思いの言語化を支える支援の意義(中里ら,2018)を考慮すると,看護師が対話支援に携わる機会は,決して多いとはいえない.対話により終末期がん患者と家族間の関係性を強めていく支援への関心を高めていくことは,対話支援の実施を促進することにつながると考える.
対話支援の実施状況では,看護師一人で何かをするのではなく,情報の共有化による対話支援をチームで行うことを表す【チームアプローチによる対話支援】の平均得点が他の下位概念よりも低かった.井上ら(2015)のがん終末期看護に対する看護師の困難を明らかにした調査によると,看護師間の情報共有が十分とはいえないことが報告されており,先行研究と同様に課題がある可能性が示唆された.終末期は家族間の関係性の不和が顕在化し(Prince-Paul, 2008),家族にとっても患者にとっても気持ちを言語化するのは難しい(Nakazato et al., 2018)特徴がある.加えて,核家族化や家族の多様化に伴い,チームで相補的な情報共有を強化していく重要性は増していると考える.本研究より,切れ目のない関わりを持つという認識のもと,チームで情報の共有化を促進していくことが対話支援実践の一助となると示唆された.
2. 看護師の対話支援と関連要因の特徴カンファレンスで自分の担当事例を報告する者は,対話支援の実施状況は有意に高く対話支援の実施頻度が高いことが示された.患者と家族間の思いの言語化を支える支援では,支援を必要とする者としない者を見極めることの重要性(中里ら,2018)が指摘されており,柔軟性のある対話支援を行うには,チーム内で発言し合える環境のもと,多様な価値観に触れ,今まで気づけなかった視点を得ることが不可欠である.また,家族看護が自分なりの家族観で家族をとらえることに影響されやすいとする一方で,効果的な看護介入には,家族を客観的にとらえていくこと(山崎・原,2015)の重要性が指摘されている.本研究の関連要因である,カンファレンスで自分の担当事例を報告することは,個々の看護師の判断や評価に留まらず,チームで事例を多角的に検討し話し合うために必要とされるものと考えられる.一方,看護師経験3,4年目の看護師は,患者に良い援助ができるように他職種間での情報共有を行い,他職種の専門性を尊重し活用していくことについて認識しながらも,患者の置かれた状況を的確にアセスメントし他職種に報告することへの困難感があり,多職種連携カンファレンスでの積極的な発言は難しいと報告されている(阿部ら,2020).これより,カンファレンスで自分の担当事例を報告することは,熟練者の実践と考えられる.そのため対話支援に対する考えや実践上の思いを語り合う場を設け,日頃からの対話支援に対する認識を高めることは重要である.したがって,カンファレンスでは一部の者だけが発言するのではなく,若手看護師でも気になった患者の事例を積極的に話せるよう,若手看護師を育てる配慮が求められる.具体策として,若手看護師が多様な物事の見方に触れ,考えを共有する素地を形成していくために,経験年数の異なる看護師がカンファレンスに参加できるような工夫や安心して語れる場を保証することを提案する.
また,専門書や関係する雑誌を読む者は,読まない者に比べ,対話支援の実践を多く行っていることが示された.髙橋ら(2020)は,看護実践の質向上につながる効果的な学習行動の関連要因として「最新の知識や情報を積極的に入手する」ことを明らかにしている.よって,専門書や関係する雑誌の紹介や利用手段の充実といった組織的に教育の機会を整備することが,対話支援の質向上に有用と示唆された.
【患者と家族に対する深い理解】および【チームアプローチによる対話支援】では,喪失・悲嘆へのケアの学習経験がある者が無い者よりも,対話支援の実践を多く行っていることが示された.つまり,喪失・悲嘆へのケアの学習内容が対象理解には不可欠であり,ひいてはチームアプローチの必要性認識につながるため,対話支援の基盤となる教育内容と考えられる.終末期看護に関する教育内容のうち,喪失・悲嘆に関する教育内容の充実や強化を行い,対話支援につながるような学習の支援体制を構築していくことが重要であると示唆された.
男性看護師は,対話支援の実践状況の頻度が低い傾向を示した.本研究では,男性が19名(6.4%)と少数の結果であった.そのため,今後の調査にて,男性看護師による対話支援の特有さと課題探索するため,対話支援の実際について質的に明らかにしていくことが必要であると考える.
3. 本研究の限界と課題本研究は,COVID‑19の感染症法上の位置付けが5類に移行する時期に調査した.そのため面会制限が行われていた施設があった可能性があり,十分に家族に関われない看護師がいたことが推察される.それゆえ,十分関わったという実感が持てず,低い自己評価となった可能性がある.今後は,感染症の影響を受けず通常の面会が行われるようになった時期に再調査を行い,どのような変化が生じたのか把握すること,および,本研究で導き出された学習内容を反映させて教育プログラムを構築し,対話支援の質の向上につなげていくことが課題である.
終末期がん患者と家族間における看護師の対話支援の実践状況とその関連要因を明らかにした.終末期がん患者と家族間の対話支援の機会は,「時々ある」と回答した者が最も多く,約5割であった.対話支援に携わる機会が多く,カンファレンスで担当事例を報告し,専門書や関係する雑誌を読む者は,対話支援の実施状況が高かった.看護師の対話支援実践力向上のためには,対話支援の実践を重ねることの促進,カンファレンスで気づきを語りやすい職場風土の醸成,専門書や関係する雑誌の紹介等の組織的な教育の機会の整備が必要であると示唆された.
付記:本論文の内容の一部は,27th East Asian Forum of Nursing Scholarsにおいて発表した.
謝辞:本研究実施にあたりご協力くださいました看護師の皆様に心より御礼申し上げます.本研究は公益財団法人安田記念医学財団 令和5年度癌看護研究助成により実施した.
利益相反:本研究における利益相反は存在しない.
著者資格:SAは研究の着想およびデザイン,データ収集・分析,原稿の作成までの研究プロセス全体に貢献;MFは分析解釈,研究プロセス全体への助言に貢献した.すべての著者は最終原稿を読み,承認した.