2005 年 36 巻 5 号 p. 266-269
近年,さまざまな病気と呼気成分の関係について研究が行われている中で,アセトンは脂質代謝の過程で発生し,糖尿病や肥満の人の呼気中に高濃度で含まれていることがわかっている.脂質代謝の指標として呼気中アセトン濃度を測定することにより,糖尿病などの病気の進行度合や治療の効果を判断できると考えられている.
そこで呼気中アセトン濃度を測定するための小型アセトン測定器を開発した.この測定器は半導体ガスセンサーを検出器に用いたガスクロマト方式で,多くのガスの混合物である呼気からアセトンを分離,定量することが可能である.また,小型ポータブルで取り扱い操作が簡単なため,臨床の現場での使用に適している.