におい・かおり環境学会誌
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特集(PCBのにおいと処理)
PCB含有蛍光灯安定器と室内環境:PCBのにおいから
細見 正明
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2005 年 36 巻 6 号 p. 323-330

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抄録

 八王子市の小学校で起こったPCB含有蛍光灯安定器の破裂事故を契機にPCBの「におい」を認識した.実際に30年程度使用されてきた蛍光灯安定器から,PCBのにおいを感じた.そこで,劣化したPCB含有安定器からPCBが揮発する可能性を明らかにするため,PCB含有安定器を使用している室内と使用していない室内に含まれるPCBを測定し,比較するとともに,PCB含有安定器をチャンバーに入れて通気し,PCB揮発の有無を確かめた.その結果,PCB含有安定器を使用していない室内の空気ではPCBは検出されなかったのに対し,PCB含有安定器を使用している室内では26~110ng/m3のPCBが検出された.これより,PCB含有安定器からのPCBの漏洩の可能性が確認された.一方,チャンバー実験からは,PCB含有安定器からのPCBの揮発が認められ,さらに検出されたPCBの組成は安定器を使用していた室内のPCBの組成と類似していた.これより,PCB含有安定器が室内PCB汚染の原因の1つである事が推定された.

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© 2005 (社)におい・かおり環境協会
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