におい・かおり環境学会誌
Online ISSN : 1349-7847
Print ISSN : 1348-2904
研究論文
においに対する教示はにおいの脳内情報処理に影響を与える
坂井 信之小早川 達戸田 英樹山内 康司斉藤 幸子
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2006 年 37 巻 1 号 p. 9-14

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抄録

日本人になじみのないアネトールのにおいに対する順応や快不快評定は教示によって大きく左右されることを,我々はすでに報告している(坂井・小早川・斉藤,2004).今回,アネトールのにおいを提示したときの脳活動を機能的MRIにより計測し,受けた教示の内容によって,アネトールのにおいに対する嗅覚脳内情報処理に違いがみられるか否かを検討した.その結果,アネトールが体に良いという教示を受けた実験参加者では島皮質に反応が見られた.一方,アネトールが体に悪いという教示を受けた実験参加者では前部帯状回や扁桃体に反応が見られた.先行研究から,心地よいにおいを嗅いでいるときに島皮質が活動し,不快な状態におかれたときには前部帯状回や扁桃体が活動することが知られている.これらの結果は,においを嗅ぐ際に,そのにおいに対して前もって与えられた先入観が,その後のにおいの知覚に影響を与えていることを示唆している.におい知覚における個人差が悪臭公害への対策を困難にしているが,このようなヒトの認知機能がその背後にあると考えられる.

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© 2006 (社)におい・かおり環境協会
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