2008 年 39 巻 5 号 p. 335-343
我が国の公共トイレ改善は1985年頃からで,近年は衛生,安全,機能性等に加え休息感も求められ,今や日本が一番といわれるほど快適になった.筆者は約20年間,この動きの中で商業施設,交通機関,公園やまちの公共トイレ,学校のトイレ等の設計を中心に活動してきた.機能性とともに,まちの個室としての役割を意識し,利用者本位,ユニバーサルデザインを実現し,加えて施設やまちでの行動の補完の場として捉えた.それらは概ね好評だが設置後の課題も多く,特ににおいの問題は大きい.快適トイレの実現には竣工後のトイレの現況と原因を研究し,新たな提案や実践の積み重ねの必要性を痛感する.