2011 年 42 巻 1 号 p. 2-7
植物は外界から大気汚染物質を体内へ取込み,代謝・分解して,大気浄化に貢献している.我々は大気汚染物質である二酸化窒素(NO2)に着目して,NO2浄化における植物の可能性について研究してきた.217種類の植物について,NO2代謝能を調査し,植物種間には最大657倍の差があることが分かった.遺伝子操作による研究から,NO2は,硝酸代謝経路を介して代謝浄化されるとの仮説が支持された.イオンビーム*1法により,高いNO2浄化能を持つオオイタビ新品種(KNOX)を作出した.KNOXは実用化されつつある.