におい・かおり環境学会誌
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技術論文
超微細なパルス射出を用いた一呼吸中におけるにおいの時間特性の測定
門脇 亜美大津 香織野口 大介杉本 沙友美坂内 祐一岡田 謙一
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2011 年 42 巻 1 号 p. 51-58

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抄録

マルチメディアの分野において映像や音と共に香りを配信するために,変化する映像や音に合わせて香料の提示を制御する必要がある.しかし,連続的な香料の提示は残り香や順応の問題を引き起こす.これらの問題を解決するために,超微細なパルス射出を繰り返し提示し,香料の少量化が必要となる.我々は最短0.67m秒での超微細なパルス射出を可能とする香り提示装置を開発した.
本研究の目的は,提示する香料の量を可能な限り減らした条件での効果的な香料の提示手法を確立することであった.香料を最少化する射出タイミングを解明するために,実験協力者の一呼吸中において香料を提示した際の嗅覚の時間特性を細かく測定した.
測定の結果,実験協力者は息を吸い始めてから0.2秒後に鼻に届く香りを最も強く,また最も長い時間感じることが明らかになった.このタイミングで香料を提示したところ,5.6nLという微少な香料の提示によっても実験協力者全員が検知することができた.このことから,射出量を大幅に少なくできる効果的な香料提示手法を提案できるだろう.

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© 2011 (社)におい・かおり環境協会
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