におい・かおり環境学会誌
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特集(においを表現する言葉)
においの言語的表現におけるオノマトペの利用性
中野 詩織綾部 早穂
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2013 年 44 巻 6 号 p. 380-389

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抄録

本論文では,においの質を言語化する際に生じる問題点について概観し,形容詞を用いてにおいの印象評価を試みた先行研究の知見を踏まえた上で,オノマトペの感覚形容語としての利用性を検討した研究内容について報告した.オノマトペを用いてにおいの質を評価したところ,先行研究と同様に「角がある-丸みがある」という図形的次元と,「ポジティブ-ネガティブ」という情動的次元が抽出された.においの知覚経験とオノマトペの連合学習は成立する可能性が見られたが,その学習内容は未学習のにおいに対しても般化される傾向は示されず,学習直後は逆に干渉を受ける可能性も示された.また,二者での会話によるにおいの情報伝達を行う場合には,送り手から発話された情報を基に,受け手が知覚経験を合わせていくような,役割分担型のコミュニケーション方略が有効であることも示された.

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© 2013 (社)におい・かおり環境協会
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