におい・かおり環境学会誌
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技術論文
低級アルデヒド除去用尿素系吸着剤の開発
相部 紀夫
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2015 年 46 巻 1 号 p. 40-49

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抄録

身近な薬品である尿素を人体に安全な食品添加物で触媒的に活性化することで「環境にやさしい」低級アルデヒド除去用吸着剤を開発する検討を行った.その結果,尿素と硫酸を温水に溶解して活性炭に添着して調製したものがホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドをよく吸着・除去することを見出した.これらのアルデヒドに関する静的吸着および動的吸着データから本吸着剤表面上において硫酸の触媒的な促進作用によって活性化された尿素分子がホルムアルデヒド分子およびアセトアルデヒド分子と常温付近で容易に反応してそれぞれジメチロール尿素およびモノエチロール尿素を生成する機構でこれらのアルデヒドを化学吸着するものと推測された.本吸着剤は含水状態で少なくとも1年間保管しても調製直後のアルデヒド吸着・除去性能を維持することも判明した.

工業的な規模で製造した吸着剤を用いてごみ処理場の排気処理を長期間実施した結果,高沸点芳香族炭化水素類の共存下でもppbオーダの極低濃度のアセトアルデヒド,ブチルアルデヒドおよびバレルアルデヒドをほぼ完全に吸着・除去することが実証され,本吸着剤の実用化に成功した.

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© 2019 (社)におい・かおり環境協会
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