2015 年 46 巻 3 号 p. 182-190
におい受容体の化学物質に対する優れた検出能を利用した,次世代型バイオセンサーの開発は,研究推進事業の一翼となっている.におい受容体は化学物質を検知し,そのシグナルを電気信号へ変換する役割を持っている.この機能を利用して,培養細胞などで機能的に再構成したにおい受容体をセンサー素子に用いた,様々なセンシング技術が開発されている.しかし,嗅覚器のもつ優れた能力の再現はいまだ実現されておらず,その課題として,嗅粘液の機能解明と再現が注目を浴びつつある.