2016 年 47 巻 1 号 p. 17-24
植物は外敵に対抗するファイトアレキシンを効率よく生産する方法を用意している.それは,直接に自個体,あるいは自身の一部が外敵のアタックを受ける前に,他の個体あるいは外敵の侵入を受けている自身の一部から揮発性の物質でそのストレス情報を受けあらかじめファイトアレキシン生産の準備をしておくことである.すでに,数多くの情報伝達物質が報告されているが,植物個体を用いる方法では完全な環境コントロール下での研究が難しく,特に樹木ではサイズも堅さも生化学・分子生物学的な研究に向かない.そこで,筆者らは培養細胞をこの情報伝達研究に適用し,良好な結果を得たので紹介する.