2016 年 47 巻 6 号 p. 401-410
かつおだしのおいしさに寄与する香気成分を明らかにするために,動物行動学実験,香気分析,ヒトの官能評価と生理応答計測を行った.マウスを用いた実験により,かつお荒節超臨界二酸化炭素抽出物の香りにマウスの嗜好性と報酬効果に寄与する成分が含まれることが示された.香気分析により,香気寄与度の高い成分として(4Z,7Z)-trideca-4,7-dienal(TDD)をかつお節から初めて見出した.官能評価および近赤外分光法を用いた唾液腺血流応答計測により,かつおだしのおいしさにTDDが寄与していることを明らかにした.