飲酒は重要なコミュニケーションツールである一方,飲酒後口臭の抑制技術が求められている.既報で成人男性の飲酒時に酢酸菌酵素を摂取させた結果,飲酒後口臭の主要成分エタノールの濃度が有意に低減できると示された.本試験では,アルコール,およびアルデヒドをカルボン酸に変換できる酢酸菌酵素に着目し,飲酒後呼気を想定したエタノール拡散の抑制効果の検証を行った.
模擬飲酒後口臭の臭気濃度はエタノール濃度と比例し,飲酒後口臭の広播性にはエタノールが寄与すると確認された.さらに狭小空間中におけるエタノールの拡散試験により,呼気中濃度(発生源濃度)とエタノールのにおいが感じられなくなる距離の関係を導いた.既報より酢酸菌酵素摂取は,呼気中エタノール濃度を低減できるため,飲酒後口臭の拡散を抑制できることが示唆された.以上より,酢酸菌酵素を利用した不快な飲酒後口臭の拡散範囲を低減する製品の開発が期待できる.