2021 年 52 巻 2 号 p. 125-129
著者らはこれまでに紅茶の香りが交感神経活動を抑制することで鎮静効果を発現することを報告しているが,これまでの香り研究から鎮静効果を有する香りには,睡眠を円滑にする効果が期待される.そこで,本研究では,ストレス意識が高く睡眠に不満がある健常な女性20名を対象に,14日の試験期間を設け,紅茶の香りが睡眠に与える効果について解析した.その結果,心理的にはストレス意識の低減とともに睡眠の質,入眠のしやすさ,睡眠維持に対する満足感が向上した.また,生理的には入眠潜時・離床潜時の短縮,総睡眠時間の延長,睡眠効率の有意な上昇が認められ,紅茶の香りには睡眠改善作用を有することが示唆された.