におい・かおり環境学会誌
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研究論文
スミレモTrentepohlia aurea (Linnaeus) Martiusのにおい嗅ぎガスクロマトグラフィーによるにおい物質の同定
小山 玲音出村 幹英野間 誠司林 信行原口 智和宮本 英揮笹川 智史龍田 典子上野 大介
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2021 年 52 巻 4 号 p. 226-232

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抄録

気生藻類の一種であるスミレモTrentepohlia aurea (Linnaeus) Martiusは,スミレのような“におい”があることが知られている.スミレモのにおいの有無や強弱には生育地域や場所による多様性の存在が示唆されるが,これまでは定性的な観察が中心であった.本研究ではスミレモのにおい物質を同定することで,スミレモのにおいに関する基礎的な知見を提供することを目的とした.におい物質の同定には,におい嗅ぎガスクロマトグラフィー(GC-O)を含む“におい分析システム”を活用した.分析の結果,“良い香り”として特徴的なにおい物質であるα-テルピネンと2-ペンチルフランを同定した(2-メチル-6-ヘプテン-1-オールとβ-イオノンは仮同定).将来的にスミレモ類縁種のにおい物質をデータベース化することで,におい物質を利用した化学分類学の発展に貢献できると期待される.

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© 2021 (社)におい・かおり環境協会
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