本稿では,中国,タイ,ベトナム,シンガポール,韓国,台湾で活動している弊社の取り組みについて述べる.特に,中国,タイ,ベトナムでの経験を中心に,それぞれの市場で直面した課題と対応について記す. 中国では,厳格な環境規制のもと,測定機関ごとのデータの違いやVOCと臭気の混同といった課題に直面した.装置を導入しても測定結果が異なるという現象が発生し,現場での実証が何よりも重要であることを痛感した.顧客の信頼を得るためには,確固たるエビデンスと粘り強い説明が求められた. タイでは,かつて日本ブランドが強みとなっていたが,現在では現地の技術者が主体となる市場へと変化した.その中で,弊社は現地のパートナー企業と協力し,彼らが自走できる体制の構築に注力してきた.現場での実務研修や技術移転を進めることで,タイ市場に適応した事業展開を推進した. ベトナムでは,臭気に関する規制が存在せず,市場が未整備な状態にある.しかし,企業の関心は高まっており,測定・評価手法の確立が急務となっている.既存の脱臭装置が十分に機能していない現場が多く,対策の効果を顧客に実感してもらうためには,現場でのデモンストレーションや測定の重要性を伝えていくことが不可欠である.シンガポール,韓国,台湾においても,各国の規制や産業構造に応じたアプローチを模索している.いずれの市場においても,共通して言えるのは,現場に入り込み,課題と真摯に向き合うことの重要性である.今後も,各国の技術者と協力しながら,臭気対策の可能性を広げていきたい.