2014 年 11 巻 2 号 p. 63-71
本研究では、自閉症児1 名を対象に、ロールプレイを用いて社会的理解の指導を行った。研究開始前、対象児は、刺激絵の2 者の登場人物に対して相互に関係づけた表出が生起しなかった。実態に基づき、二者がやりもらいをする刺激絵を見て、登場人物とその行動を表出することを標的とした。介入1 期では、立ち位置・小道具の選択と行動、セリフの表出の要素を含んだロールプレイを行い、直後に標的行動を表出させた。刺激絵は、役柄によって行動が規定されるものを用いた。介入2 期では、登場人物と行動の見本合わせを行った後にロールプレイを実施した。介入2 期の後半から刺激絵を役柄と行動の相互関係が反転可能な場面に変更して実施した。その結果、介入2 期以降において、標的行動の正反応率が上昇した。以上の結果から、自閉症児の社会的理解を促進する上での方法について考察した。