2014 年 12 巻 3 号 p. 15-21
自閉症スペクトラム児は、社会的相互反応に対する質的な障害やコミュニケーションの質的な障害があり、仲間関係の形成が容易ではない。とりわけ、知的遅れのない自閉症スペクトラム児は、言語発達の遅れや問題行動が顕著でない場合、仲間関係の形成への支援が幼児期からなされないまま、他児からの拒絶や阻害を体験する。そして、対人的な不安が思春期以降に顕在化する事例も少なくない。幼児期の仲間関係は遊びが中心であり、「協力して遊ぶことができる子」が仲間関係を形成しやすい時期である。そこで、本研究では、知的遅れのない自閉症スペクトラム児に対して、遊びを中心的な活動として取り上げ、遊びを通した仲間関係の形成を目的とした支援を試みた。そして、療育教室と幼稚園と一貫した療育を実施することで一定の仲間関係の形成スキルの習得が見られた。