2019 年 17 巻 1 号 p. 23-32
本研究では、発達障害のある児童養護施設入所児童の不適応行動に対して、施設職員に対する機能分析的アプローチに基づいた行動支援プログラムが入所児童の行動改善と直接処遇職員の心理変容に及ぼす効果について検討した。3名の施設職員を対象に、入所児童が示す不適応行動に対する機能分析に基づく支援計画作成のための5回のワークショップとクラウド・サービスを活用したスーパービジョンからなる行動支援プログラムが実施された。結果、児童の標的とされた不適応行動は低減を示し、1ヶ月後のフォローアップにおいても維持が確認された。プログラム実施前後の施設職員の変容においては、SRS-18の得点の低下やGSESの得点の上昇などが見られたが、統計的な有意差は認められなかった。事後インタビューからは職員同士での情報共有が不安軽減につながった点や、本プログラムが職員の負担にならなかった点が示された。児童養護施設入所児童に対する機能分析的アプローチにもとづいた行動支援プログラムの有効性と課題について考察した。